君はバイクに乗るだろう VOL.143 |






ウチの近くに、ちょいとワケありで父親母親とではなく祖父母と暮らす女子高生がいる。
彼女は小さい頃、今住んでいる祖父母の家(父親の実家)にほぼ毎週末、父親が運転する白いエスティマに乗って遊びに来ていた。
まー、度が過ぎるほどうるせえガキだった。
通常時は普通の声なんだけど、一度確変に入ると「ムキャ〜〜〜ッ!」という、ほとんど金属じゃん。金属をこすりつける絶望という名の地下鉄じゃん。みたいな高周波の咆哮が止まらなくなるのでうるさいなんてもんじゃなかった。
ある時、金属音がやけに近くで響くので、近所を代表して注意しようと外に出ると、駐車場に停めてある俺のクルマの周りを自転車でグルグル回っていやがって「コラーッ!」と怒鳴った瞬間、後ろのドアにハンドルをぶつけて急停止……「コ、コラ! おいっ!」となってから「お父さん呼んできて」と厳重注意をしたことがある。
しゃくれアゴのヘチマ系ヅラの父親は俺が最も生理的に受けつけない高音かつネズミ男みたいな声の持ち主で、その後も近所のガキどもを交えて「日が暮れてから鬼ごっこかよ」とか「こんな時間から花火かよ」といったコネタを繰り出してきたので、俺はその都度、近所を代表して注意をし、クレーマーオヤジの地位に昇り詰めたわけだけど、高校生になった金属音娘に最近恋人が出来たようなのである。
というのもちょっと前の日曜日の夜、屋上でタバコを吸っていると声がして、ゴミは明日の朝なのに夜中のうちに出しちゃえって……どこのどいつだ!
と、近所を代表して下を見ると、ゴミ集積所の前で制服姿の彼女が同じく制服姿の少年と、ひし、と抱き合っていた。
この展開はっ!……と見守っていると(あくまで見守りであって覗きではない)……沖田浩之風に言えばそこで2人はAをした。
彼女は俺にさんざん怒られているにも関わらず、会えば挨拶してくれるので好感というか、たぶんいろいろあって大変かもだけど頑張れよ、と思ってるんだけど、そーかそーか彼氏が出来たのかー。良かったじゃん。
で、ついこの前、朝からハッキリしない天気で雨が降り出した夜、ウチに向かって歩いていると、ときどきあらぬ方向から無灯火のチャリンコが飛び込んできたりして危険な変則6叉路の中の1本に制服姿の相合い傘……またお前らか。またAか。
Aを終えた彼女は傘もささずに俺を追い抜いて走り去った。
スカートが短かった。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
ゴミ集積所とか雨の変則6叉路とか関係ないよね、恋だから。(総合司会・坂下 浩康)
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