君はバイクに乗るだろう VOL.138 |






両国のバイク屋さんに行こうとクルマで首都高に乗る。
も、すぐそこで降りるのに、いつものように箱崎で渋滞が始まった。
後方確認。
習志野ナンバーの白いレンジローバー。
バックミラーにはサングラスをかけた金髪の外国人女性が映っている。
白いシャツに黒いジャケット。
たぶん下はスカートじゃなくてパンツだと思う。
たぶん口は堅い。
歩幅は広い。
女優で言うと誰っぽいかは思い浮かばなかったけどたぶん優秀な秘書だろう。
モテる。
チヤホヤされまくる。
男がほっとかない。
でも実は彼女にはもうひとつの顔がある。
裏の組織の人間なのだ。
だから恋愛は御法度なのである。
それでも恋はしますよ人間だもの。
相手は柄本 明の息子2人を足して2で割った感じの大学院生。
裏の組織界隈では出会うことがない、純粋で素朴な年下の青年に彼女は惹かれていく。
いけない。
私には恋をする資格なんてない。
でもある夜、ちょっといい感じになってしまう。
「大学院を卒業したら、僕と結婚してくれませんか」
「ごめんなさい。私……私、本当は……」
言葉に詰まった彼女の右の拳が青年のボディに食い込み、鈍い音を立てた。
「ど……どうして……?」
ヒザから崩れ落ち、気を失った青年が目を覚ますと、彼女の姿は消えていた……。
みたいな感じの金髪美女なのである。
俺は彼女にリクエストを出した、心の中で。
「タバコ吸って」
念じた。
ここでタバコ吸ったらカッコいいと思うのよね。
渋滞を進みながらチラ見していると……彼女が合流手前でタバコを吸い出したではないか!
うおーっ!
吸ったーっ!
これ、最近うれしかったことです。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
彼女が吸ってるタバコの銘柄までは分かりませんでした。(総合司会・坂下 浩康)
★ ★ ★

http://www.mu-ad.co.jp/ywb/
【Instagram】
https://www.instagram.com/sakashitahiroyasu/