遠山 康秀 & Harley-Davidson XLH1000(2016.04.19) |

Q1:バイクに乗ろうと思ったキッカケっていうか、影響受けたモノは?
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
バイクを意識したのは小学校6年生の時かな。
向かいに住んでた高校生のオニイちゃんが、トーハツのランペットを買って一生懸命塗装してたんだよね。 スプレーがない時代だから、ハケでタンクを赤く塗って。
マフラーのサイレンサーを抜いたり、フィンにアルミの洗濯バサミを付けたりもしてたけど、「これで速くなるんだよ」って言われて「赤く塗っただけで速くなるのかなあ?」って思ってた(笑)。
僕らは16歳で軽自動車免許が取れたんですよ。
高校に入ると軽自動車か二輪かに分かれる。
僕はバイクだったけど、免許取る前に友達に借りて乗るとか全然なかったから、生まれて初めてバイクにまたがるのが試験場。でもそれが普通でね。メットすら触ったことないから後ろ前にかぶってるヤツとか、ウイリーしたまんまコースの金網に突っ込んでいくヤツとか……コントみたいだった(笑)。
僕が自動二輪を取れたのは4回目。
マッハの前身で「サムライ」って言われてたカワサキのA1を中古で買いました。
クルマ屋さんでタンクを真っ黒に塗ってもらって、スワローハンドル付けて走り回った。
それから17歳の時、平凡パンチだったかプレイボーイだったか……最後のページに「ニューシネマ、イージー・ライダー近日公開!」ってワイアットとビリーが走ってる写真がドーンと出てるのを見て、もう……「ガーーーーン!」でしたね。
なんだこれ? カッコいいなこのバイク? アメリカじゃこんなバイクが走ってるんだ?……って、友達と学校休んで銀座のスバル座まで観に行きましたよ。
1週間くらい上映してたかなあ。3回観たけど全然退屈じゃなかった。音楽と映像だけで陶酔してましたね、ストーリーは追ってないから(笑)。
僕はA1で友達はCL72だったけど、観たら真似したくなるでしょ?
キャプテン・アメリカ号みたいに高いハンドルはなかったから、イーグルバーにジャイアントミラーを付けて、キャリアを立てて、毛布を丸めてくくり付けて……それで気分は『イージー・ライダー』
いつも走る前は、パンフレットを見て、サウンドトラックをさんざん聴いて気分を高めて……「さあ行くぞ!」ってやってましたね。
★ 2 ★
17歳の時、「バイクが集まってるから行こうよ!」って、友達と初めて新宿西口に行った土曜の夜のドキドキ感。
僕らは新宿西口だったけど、表参道にも結構たまっててね。当時は中央分離帯がなかったからクルマのヤツらがスピンターンをガンガンやってたな。
日比谷公園の前もスゴかった。警視庁から銀座の入り口までずーっとオートバイが並んでて。
集まって、道ばたに座ってタバコ吸って、「次の信号まで」とか「警視庁のコーナー曲がって官庁街一周、誰が一番速いか」とか競争してね。曲がりきれずに警視庁の門番とこまでスッ飛んでっちゃうヤツがいたり(笑)。
いろんなグループがあったけど、みんなフレンドリーで、ウエルカムで、仲が良かったよね。
土曜日は早く仕事を終わらせて、夕方からガソリンスタンドに行って、ピカールと歯ブラシと綿棒でキャブレターをメッキしたみたい磨く。集まるのは夜だから暗くて誰にも分かってもらえないのに(笑)。それでも頑張ってピカピカにしてたよ。そうやって土曜日の夜に向かってるのも楽しかったし。
集まる連中はバイクもクルマも大事にしてましたね。食うもの食わなくてもバイク……って、ローンとガソリン代のために働いてた。
『アメリカン・グラフィティ』にそういう夜のシーンがあるでしょ。
僕は21歳から2年ちょっとの間、サンフランシスコで暮らしてました。
サウスアリントンとかゴールデンゲートパーク横の海岸ぺりに片側4車線くらいのとこがあるんですよ。そのへんで遊んでいると、誰ともなく「今週金曜日に集まろうぜ」って話になる。
で、夜になるとホットロッドが集まってくるの。
メキシカン、黒人、チャイニーズ、白人……場所場所で分かれて陣取って、ストリートレースが始まる。
「勝負しない?」って10ドル掲げて、「やろうぜ」ってなるとグルッと回って2台並んで、クラクション3回でスタート。
俺も友達に借りたカマロで1回やったことがあったけど、いま思い浮かべると信じられないステージだよね。
一番良い時の日本と、一番良い時のアメリカにいられたかなあ。特にバイクとクルマの世界だと。
★ 3 ★
楽しく競争して遊んでたのが、そうじゃなくなってきた時。
そういう世界が嫌になったことが21歳でアメリカに渡るキッカケにもなった。
★ ★ ★
遠山さんの『EAST URBAN Custom Cycles』(http://www.easturban.jp)は俺のジョギングコース上にあるんだけど、基本飲み過ぎて喉が渇いて目が覚めた朝しか走らないので、開いてる時間に通りかかったことはなかった。
ちなみに俺のジョギングコース上には「まいばすけっと」が2軒ある。
遠山さんとこの近くは朝7時。もう1軒は8時からの営業だ。
同じ店なのに開店時間が違うのは、遠山さんとこの近くは246の上りで駐車場があり、もう1軒は246の下りで駐車場がないってとこに理由があるのだろう。
ジョギングの仕上げには246下りの店で偽ポカリ(税込69円)を買っている。
でも開店当初、「こっちも7時から開いてんだろ」と思って7時半くらいに行ったらまだ閉まってんじゃん!
偽ポカリでノドを潤す快感のために起きてすぐ水飲むのを我慢して走ってきたのにどうしてくれるんだよ!
つかきっかり69円しか持ってきてないからそのへんの自動販売機で150円の本物ポカリ買ったりできねーんだよ!
あ〜、69円って無力だなあ。あ〜、ノド乾いたなあ。
ということがあったので最近はゆっくりめにスタートするようになった。
俺が行く週末の開店直後だけかもしんないけど、この246下り店はスタッフが2人くらいいるのに、いつも棚につきっきりでレジに人がいたことがない。だからいちいち「すんませーん」って呼ばなくちゃいけない。
それはまだいいとしても1回、ジャガイモかなんかを棚に並べてる途中でレジに来たオバちゃんに土が付いたままの軍手で対応されて怒ったことがあった。
それはともかく俺はひょんなことから遠山さんと会うことになった。
去年の10月かな。
某社からその名も『イージー★ライダー HARLEY-DAVIDSON』という週刊誌が某所限定で発売された。
これは毎号パーツが付いてきて、ぜーんぶ揃えて組み立てれば映画に登場するキャプテン・アメリカ号がアナタのお手元に! 伝説のカスタムバイクが甦る! ボーン・トゥ・ビー・ワ〜〜ァイ!……というちょっと特殊な雑誌だった。
俺はひょんなことからその編集をしていた。
つってもハーレーのことも映画のこともロクに知らないのでまず蔦屋書店でブルーレイを買い、それからハーレーだったら『VIBES』さんだろ。つっていろいろお願いしたり、植村編集長にトイズマッコイの岡本さんを紹介してもらって甘えたり、映画関係の仕事をしている親戚に紹介してもらった映画ライターさんに泣きついたりして作っていた。
その5号から、映画の話や岡本さんが所有するにキャプテン・アメリカ号のリアルレプリカ詳解の他、『イージー・ライダー』に大きな影響を受けた人達を紹介する連載が始まり、第1回目で登場したのが遠山さんだった。
記事はVIBESさんが書いたので俺は遠山さんと会う機会がなかったんだけど、去年の12月、ご挨拶がてら掲載誌を届けにお邪魔したら『イージー・ライダー』をはじめとする映画だのいにしえのアメリカのテレビドラマだのの話を次々に繰り出されて楽しかった……遠山さんとハーレーの写真撮らせてください……って感じで今に至るんだけど、その雑誌は諸事情あって(←便利な言葉)7号で打ち切りになりました。
4分の1スケールだからそこそこのサイズで完成するはずだったキャプテン・アメリカ号は魔墓呂死になったけど遠山さんに会えたからいっか。
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