君はバイクに乗るだろう VOL.126 |






なぜかこの時期に北海道のオススメスポットはどこですか的な取材をすることになり、唐突なお願いにも関わらずたくさん用意していただいたキレイな写真を見つつたっぷり話を聞いていたら、あ。ここ。中学校の修学旅行で行った行った!という観光名所がいくつか出てきた。
寒かったっけ?
どんなニオイだったっけ?
誰と同じ部屋だったっけ?
ほとんど思い出せない。
でもどうしようもなく中学生の記憶だな〜って感じで鮮やかに甦るのが俺らのバスの担当だった新人バスガイドちゃんだ。
青森から青函連絡船に乗って上陸した北海道から登場した彼女は、パイセンガイドにくっついて見習い修行中だった。
小柄で、髪型は甲斐智枝美風で顔は渡辺典子に似てなくもなく、全体的にはデビューして1年で消えちゃうアイドルみたいな儚いビジュアルだったんだけど、「こんなめんけえ子、みやごじゃ見だごとねえ!」と俺も含めたクラスの中2男子一同は一気にファンになり、北海道を見にきたのに上陸するやいなや北海道なんかどうでもよくなってしまったのだった。
俺も含めた三陸の中2男子一同は磯臭い上にバカなので、年上の彼女に対し、何がどうって具体的なシナリオが頭の中にあるわけでもないのに「あわよくば!」と思っていて、ことあるごとにちょっかいを出しちゃあ盛り上がっていた。
でも、別れの時は来る。
バスを降りる前、彼女は「ヌンケクスネ〜ェ、ヌンケクスネ〜」で終わるアイヌ民謡を歌ってくれた、少し涙声で。
バスを降りた彼女は1人1人を見送りながら泣き出してしまった。
バカな中学生のくせに俺も涙がこみ上げたけど、たぶんすげえ変な顔になってこらえてわざと最後の最後にバスを降り、彼女を真ん中に挟んで友達と3人で写真を撮ってもらったんだよね〜。
よね〜〜。
よね〜〜〜。
とか思い出しちゃって取材の後半は集中力を欠いた俺だった。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
最近YouTubeで渡辺典子をよく聞いてます。(総合司会・坂下 浩康)
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