更新後記 VOL.125 |






こないだ久しぶりに雪が降った日、9時半に家を出た。
もう雨になっているのでふかふかの新雪を「キュイッ」とか言わせながら踏みしめるのではなく、雪と雨と泥でビッチャビチャな、人間でいうと号泣して涙と鼻水とヨダレでグッチャグチャになってる顔みたいな歩道を進んでいく。
ブーツでもすべらなさげなところを探してジグザクしながらチビチビ歩くのが結構楽しい。
ブーツじゃなくて長靴(釣り用)で来ればもっと楽しかったかもしんない。
雪の日は最強だよな長靴。
三陸の田舎にいた頃は長靴といえば黄色か黒しかなくて、黄色は幼稚園、小学生から黒いやつ、小学校高学年まで迷うことなくズボンを長靴にイン、中学校に入ったあたりで長靴インに抵抗感、高校に上がると長靴を拒絶して滑るし濡れるしを承知の上でスニーカー等にシフト……みたいな感じだったけど今ってオバちゃんのほうが長靴着用率高いのな。デザインもいろいろあるし、長い。ほとんどヒザまである。あれ? カッコいいじゃんすかそれ! それと同じデザインの男物ってないんすか?ってなものまである。
つって駅に着いたら駅前のスーパーの前から駅に向かって傘をさした人達が並んでいて呆然とした。
電車止まってんのかなー。
にしても列が全然進まない。
さっきまでちょっと楽しかったのになー。
30分後、列が一気に進み出して、また止まった。
電車は動いてるんだけど本数が少なく、乗り切れない客が各駅にあふれているので改札を封鎖しているという。
いつ開くとも知れない改札の前の人達は「大幅に遅れが出ています」という赤字のアナウンスが流れ続ける掲示板を見据えてジッとしていたり、スマホをイジっていたりしている。
ヤベえ。
末端冷え性が全開になってきた。
このままでは軽い凍傷になってしまう。
足の指が痛くなったのでその場で足踏みをして気を紛らわせていると、俺の前にいる30、40人くらいの人達の中で1人だけ、掲示板もスマホも見ずに斜め方向を向いている女の子がいることに気がついた。
でも顔が半分しか見えない。
全体っ!
と思っていると俺の心の声が届いたのか、ちょいちょい振り向いて自分の後ろの状況を確認したりするので清水富美加似でちょっと可愛いことが判明した。
彼女のおかげでそれから改札前での1時間半を乗り切れたと言ってもいい。
改札が開いた。
一気に構内へ流れ込む人、人、人、そして富美加。
自分の意志に関係なく身体が前に進まされるのは29年前、仙台の郊外に大噴火ってパチンコ屋の開店初日に並んでカウントダウンから18時、「オープンです!」って自動ドアが開いた瞬間以来だ(整理券とかなかったんで早い者勝ちで客は店内になだれ込み、俺は打ったこともない権利モノに自分の意志関係なく座らざるを得なくなって大敗)
にしても来る電車来る電車すっさまじい乗車率だ。
白く曇ったガラス越しに、むぎゅー押しつけられてる人の死神みたいな顔を見ていると、ギュンギュン押し入っていく勇気が出なくてホームで1時間待ったんだけど、隣のレーンにキャンバスなのか額縁なのか70センチ×90センチくらいのガザばりまくる物体を手にしたオニイちゃんがいて、あの彼、どういう状況で乗り込んだのかなあって今でも気になってる。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
週末また降るかもですね〜。(総合司会・坂下 浩康)
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