しば待ち from VOL.34 |
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俺むっちゃ酔うんす、クルマに。
ってオニイちゃんに会った。
驚いた。
昔って乗り物の酔い止め薬のCMをテレビでやってたじゃん、ガスピタンばりに。
つまりメジャーだったんだな、乗り物酔いが。
でも最近は見た記憶がない。
もしかして今のちびっ子は乗り物で気持ち悪くなったり、我慢して我慢して我慢したけど我慢できずにゲロ吐いちゃったりしない生命体に進化しているのだろうか。
生命大躍進。
ガッキー、かーいー。
ニッポンの乗り物酔い界の未来は暗澹たるというか跡継ぎいないのかも。
有望な若手ゼロなのかも。
と、思っていただけにうれしい。
今は酔わないけど小学校6年生くらいまでの俺はむちゃくちゃ乗り物に弱かった。
苦手順に並べるとクルマ(主にたまに乗る三社タクシー=宮古)、船(主に夏に乗る宮古の浄土ヶ浜の観光遊覧船)、電車(主にたまに乗る山田線=宮古〜盛岡)、全部ダメ。
いろいろ吐いてきたけど思い出深いゲロは3年生か4年生の冬。
新巻鮭。
これは手っ取り早く言えばまるまる一匹を干物にした鮭で、俺的にはマグロなんか目じゃないレベルで魚の王様ですよ。
でもってお歳暮のド定番(宮古では)
ウチも盛岡のジイちゃんバアちゃんに贈ってた。
それがある時、初めてのおつかいじゃないけど、俺が電車で届けることになった。
NOはなかった。
1人で、新巻鮭が入ったガサばる箱(20センチ×70センチくらい)を抱えて、電車で盛岡まで行く(つっても2時間くらい)ってだけで俺はちょっと誇らしかった。
「ジイちゃんバアちゃんに届ける!」というスペシャル任務に気合いがほとばしった。
早い話が俺はすげーはしゃいで当日を迎えるわけだけど山田線。
チョー揺れるんすよ。
30個くらいトンネルくぐるんすよ。
揺れとニオイのハーモニー。
30分も経たずに俺は気持ち悪くなっていた。
ここにはひとつの大きな境界線がある。
気持ち悪くなんかない!
やっぱ気持ちワリイ……。
窓の外の景色の遠くのほうを見れば大丈夫だ!
全然大ジョブじゃない……。
気持ち悪くなっている自分を認めるか認めないかで旅の結末は変わってくる。
要は気持ちの問題だ!
俺はヘロヘロで盛岡に着いた。
顔面蒼白で足元はふらついているがそこは問題ではない。
勝負はゲロを吐くか吐かないかで決まる。
吐いてない。
俺は吐いてないぞー。
山田線はクリアした。
改札を出るとキンと冷えた空気で目が覚めた。
旅は続く。
ここからバスに乗り換えて20分くらい辛抱しなくちゃいけない。
これが最大の難関だった。
まずニオイがダメ(排ガスのじゃなくて車内のニオイ。クルマそのものの臭い。車臭。世界の車臭から)
ちょこちょこバス停で停まる時の前後の揺れが肉体的にも、「またすぐ止まってオエッてくるんじゃないか?」って精神的にもダメ。
途中で線路渡る時の上下の揺れが腹の底から最強にダメ。
新巻鮭のガサばる箱と不安を抱えながら旅はクライマックスに向かう。
バスが出発してものの5分ってとこだろうか。
夕顔瀬橋ってキレイな名前のバス停を過ぎたあたりから停留所のアナウンスがほぼ耳に入らなくなった。
気持ち悪くなっている自分を認めるか認めないかの境界線。
そこにはみっちみちに有刺鉄線を張り巡らせていたのに、俺は突破してしまった。
むちゃくちゃ気持ちワリイ!
全然大ジョブじゃない!
しかしギリギリのところ、平成ガメラで言うと「ここまでレギオンが来ちゃったら自衛隊一同撤収しゃ〜す」という最終防衛線の手前で俺はこらえにこらえて県営体育館前(ってバス停)で飛び降りた。
ホッ。
ゲーーーッ!
ホッとして!Geee
迎えに来てくれたジイちゃんの前で俺は吐いてしまった。
かぶっていた広島カープの帽子に。
ジイちゃんには死ぬまでネタにされた。
ちなみに22歳の若者は「バイクの免許取ってすぐクルマも取ったんですけど、自分で運転してても酔うんです」という特異体質の持ち主だった。
一応取材だったんだけど3分の1くらいゲロの話ができて楽しかったです。
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