君はバイクに乗るだろう VOL.119 |
もうじき大学を卒業するというオニイちゃんに会った。
待ち合わせ場所は都内某所の交差点の角。
近くにある公園は犬の散歩の名所なんだろう。
ちっちゃい犬を連れたサンドウィッチマンの伊達みたいな人がやたら通る。
俺は交差点に背を向け、ガードレールに寄りかかりながら(座ってはいない。コカコーラも飲み干さなかった)タバコ屋の上に掲げられたサザンオールスターズの広告を見ていた。
この写真は事務所で撮ったのかなあ。
それとも誰かんちだろうか。
なんてことない場所でなんてことないポーズだなあ。
それが狙いか!(言ってみただけで心当たりはない)
へ〜。
アルバム出すの10年ぶりなんだ。
1枚も持ってねえなあ。
20分くらい経った頃、右斜め前の車道に待ち合わせのオニイちゃんとおぼしきバイクが止まった。
音がすればすぐに分かる。聞こえた瞬間に振り向いて「ここだよ〜。俺だよ〜」って手を振ろう。って思ってたから俺はずーっと余裕で交差点に背中を向けて気取ってたんだけど全然気づかなかった。
オニイちゃんのバイクはマフラーが換わってたけど125ccですっげー静かなのだった。
オニイちゃんはこの春から中学校の先生になるという。
お父さんが学校の先生で、その姿に憧れたという。
そう聞いて一瞬いろんなもんが逆流した。
俺のお父ちゃんも学校の先生だったんだけど、ずーっと学校の先生にはなりたくなかったんだよね、理由もなく。
でも30歳くらいの時、先生楽しそうだなあ。先生になればよかったなあ。って1年くらい思ってた。
「先生って素晴らしい職業だよね!」ってやたら言ってた。
それはNHKでやってた『課外授業 ようこそ先輩』を見て感動したからっつー、チャラい志だったわけだが、目の前のオニイちゃんの目は輝いているし志は清いし、俺はもう、戻れない。
俺はもう先生にはなれない。
でも心はいつも1年生だよ(←生徒だろそれ)
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
誰にってわけじゃないけど卒業おめでとう。(総合司会・坂下一年生)
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