更新後記 VOL.114 |






東大医学部の天才だの秀才および知識モンスター、京大医学部の天才だの秀才および数学オリンピックの金メダリスト等が集まり、「リニアモーターカーが時速500キロで走り続けて月まで掛かる時間は?」「正解は約41日17時間21分」みたいな問題に答えまくる『頭脳王』っつー番組を、スゲ〜スゲ〜言いながら見ていたら、キャッチフレーズ「東大医学部の異端児」のオニイちゃんが優勝した。
たぶん事前に「この番組では出場する皆さんにいにしえの全日本プロレスの外人レスラー風にキャッチフレーズ的なものを付けさせていただいているんですが★★さんは東大医学部の異端児でよろしいでしょうか?」ってなことを言われて、「え〜。異端児ぃ〜? それ了解したら異端児だって認めたことになんないっすか? 異端児が自分で『ええ。僕は異端児です』って言いますかねえ」「ままままま、そう面倒なこと言わずに。イメージですよ、イメージ。だいたい本物の異端児はこういう番組に出ないでしょ。そもそも3万人くらいが参加した予選に申し込んでる時点で★★さんは大して異端児じゃないんだから。でも番組的には欲しいわけ、異端児が1人」「そっすか。異端児オイシイかもですね」みたいなヤリトリがあったと思うのだが、この異端児がたまらなかった。
問題が出されると異端児はアゴのあたりを激しくさすりながら考える。
その変なクセも異端児っぽくてよかったんだけど、左手で持ったペンを垂直に近い角度でオッ立ててボードに答えを書いてる時の「コッコッコッ」って音がたまらなくよかった。
なんつの。
筆音つの?
いい音してるじゃねえか異端児よォ。
俺も異端児みたいな筆音を出したいので最近、意識してペンをオッ立ててます。
でもペンを立てると字が変わるのよね。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
筆音と言えば20年ちょっと前、所属していた編プロの最下層編集部員だった俺の右斜め向かいにいた先輩が、原稿用紙の裏に担当ページのラフを書く時の筆音も好きだったな〜。
シャーペンがネズミ色の事務机を叩くコツコツ音とリズムが今も耳に残ってる。
ラフってのは、写真とかタイトルとか本文とかキャプションをページのこのへんにこんな感じで入れてください。ってな指示をデザイナーに出すための落書き。
だから途中で「ん~。どうしよう」とか悩むこともあるんだけど先輩の筆音には迷いが一切なくて、聞いてて気持ちよかった。
撮ってからどうしようって考えるんじゃなくて、たぶん撮影時、いや企画を思いついた時から頭の中でページが出来上がっていたんだと思う。
先輩の迷いのなさとイキオイと直感が雑誌を加速させていた。
先輩は編集長にはなれなかったけど、ボスはなんでこの人を編集長にしないんだろうって思ってた。
俺はその先輩と同じ編集部になることはなく、あまり話すこともなく、一緒に遊んだり酒飲んだりとかもなかったけど、あの筆音と、数少ない会話の中で言われたいくつかの言葉がホント忘れられない。
とか書くと先輩死んじゃったみたいな感じだけどご活躍です。(総合司会・坂下 浩康)
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