君はバイクに乗るだろう VOL.100 |






レイトショーの上映まで30分。
座席に着くには早すぎるんでポップコーン売り場でコーヒーを買い、開場のアナウンスがあるまでこちらでお待ちください的なテーブル席に着いて、映画の予告編が流れているモニターに目をやる。
ポッター的なもの。
アメコミ的なもの。
国家レベルの巨大組織に1、2人で立ち向かう的な雰囲気のもの。
黒執事。
あれ?
水嶋ヒロって俳優やめて作家になったんじゃなかったっけ?
復帰したの?
それとも籍は大相撲協会に残しといての長期休場的なニュアンスでの役者引退宣言だったのか?
今後は二足のわらじ的な?
フロアは閑散としていた。
隣のテーブルにはTRICKかSPEC待ちな感じの大学生風カップル。
そしてもう1組、モニター真下のテーブルに3人の少年がいるだけなのだが、どう見ても保護者同伴でもレイトショーは観れない18歳未満である。
ほんじゃなんで映画館にいるのか。
「映画も好きだし映画館の雰囲気も好きでたまらないから予告編だけでも見たいんっす!」つーわけでもなさそうだ。
ほんじゃ何してるのか。
剛力彩芽が銃口向けられてギャーッ! タイトルドーン! 全国ロードショー!……みたいな黒執事の予告編等には見向きもせず、注意したくなるほどうるさくもないボリュームでやいのやいのと……え?
勉強してんだ!?
見るとテーブルの上には各自の物と思われる数冊のノートが散乱している。
この時間だから塾の帰りだなきっと。
さっき塾で出された宿題をみんなでやってんだな。
ゼロじゃん。
チミ達、今から映画を観る気配ゼロ・グラビティじゃん。
タダだし、暖房効いてるし、3人分のノートが広げられるテーブルがあって、ある程度の人混みに紛れられるから店員さんもスルーだし。
あとほら。仕事終わってゆっくり映画でも観ようってくつろぎな感じの空気だから「洗ったパンツを平積みしとくと一番上のを取っていつも同じのばっか穿きやがってムカつく」「分かる~」とか大声で旦那の悪口言い合ってる香水くせえオバちゃんとかいないし、ポップコーンのニオイもしてるし。
3人の中の誰かは不明だけど、この物件を見つけた少年のロケハン能力は結構スゴいと思った次第。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
つー感じで遅ればせながら観た『ゼロ・グラビティ』は、わー。も〜どーにもなんない。っつー「どうにもなんなさの底」が今まで観たすべての映画の中で一番深かったっす。(総合司会・坂下 浩康)
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