君はバイクに乗るだろう VOL.98 |
5ヶ月ぶりくらいに会った友達の子供、2歳の女の子は相変わらず俺を断固拒否、全面的に不支持、100%NG的な態度ではあったが、食卓の上に右手をかざし、ぎゅっと握りしめていたちっちゃい手を、ほにゃっと開いた。
ぽとり。
ころころ。
わーっ!
どんぐりだ!
それは帽子もないし色もノーマルで、俺の査定によると星1つの、地味な、ありふれた、映画で言うとゴジラから逃げ惑う大勢のエキストラの中の1人的などんぐりだったのだが驚いた。
完全にノーマークだった。
え〜っ!
ここでか!?
ピンチでもチャンスでもロスタイムでもないのにここでどんぐりを投入か!
まさに意表を突く采配。
采配じゃないか。
2歳児は采配なんか振るわないか。
ただ、お母さんに連れられてワケも分からず宴会に現れ、俺を見てひとしきり「やだやだ帰りたい」的に暴れた後、ビールとツマミの大皿小皿が置かれたテーブルの上に隠し持っていたどんぐりを不意に放り出すという、どんぐりの登場のさせ方は見事だった。
これぞどんぐりだと思った。
これならどんぐりも見ず知らずの子供に無抵抗で拾われて運ばれてブン投げられても満足だろうと思った。
んだ。
オラの手持ちのどんぐりもあんな感じで供養しよう。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
ちなみに5ヶ月くらい前に会った時の2歳児は、すんげ〜大事そうにタンポポの茎(ふさふさナシの枯れかけ:査定★)を持ってました。
どこで無くしちゃったのかなあ、ああいう気持ち。(総合司会・坂下 浩康)
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