更新後記 VOL.97 |






大先輩が紹介してくれた、ウエアとかメットを作っているメーカーに取材に行くことになった。
メーカーの名前は初耳だった。
つーのもまだ立ち上げて半年なんだから聞いたことないのも致し方ナッシング。
ひとまず電話して段取りを組む。
事務所の場所を聞いたらウチの近所だった。
ネットでルート検索してみたらウチから4キロくらい。
信号2つ曲がるだけ。
むーっちゃ近所だ。
じゃあ火曜日の14時で。
なんつって時間を決めて当日、13時45分に余裕で家を出る。
あ。
このバイク屋さん、名前変わっちゃったんだ。
2つ目の交差点。
俺は懐かしさに浸っていた。
この信号を曲がると上には第三京浜が走ってんのよね。
でもって夏でも冬でも第三京浜をくぐるといつも気温が2度くらい下がった気がして、東京と川崎の田舎の違いを感じたのよね。
23年前、バイク雑誌の編集部に見習いで入った俺は、その先にあるマンションに住んでいた。
このへんだったかなあ。
と思いながらも俺は、取材先の目印の、地図で見るとそこそこ大きそうな町工場の看板を追いかけていたので通り過ぎてしまった。
たぶん完全に行き過ぎた感じで道沿いのホームセンターで止まり、こんな近所なのに迷うかなあ、しかし。
と思いながら取材先に電話を入れる。
「それは通り過ぎてますね。そこから戻って左側、白いマンションの1階ですよ。黒いハイエースが停まってますから……じゃあ僕、外に出て待ってます」
スンマセン!
引き返してすぐ、黒いハイエースとそれっぽい人が立っているのが見えた。
ココでしたか……。
つか、ココっすかーーッ!
そこは俺が23年前に住んでいたマンションだった。
うおーーーッ!
約束の時間に遅れたことを詫びるや否やいろんな思い出が噴出して止まらなくなった。
俺俺俺むかしココの3階に住んでたんすよ!
すぐそこの中原街道で飲酒運転で自爆したり。
下っ端で全然家に帰れなくて、一緒に住んでた看護婦の彼女とすれ違いな感じになっちゃって1年持たずに逃げられたり(←初対面の人に言うことか)
取材前なのにいろんなこと思い出し過ぎて消耗してしまった俺なのだった。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
23年前、母ちゃんにもらった手紙を探してみようと思う秋の夜。(総合司会・坂下 浩康)
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