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この一番下……って、じゅり?
浜田朱里?
サンデーズ?
ヒーローとアイドルが混在する千葉さん部屋の壁に貼られたモノクロ写真はいにしえのアイドル、浜田朱里だった。
にしてもこの1枚、ポスターでもなけりゃ雑誌の切り抜きでもないっぽい。
「それ、私が撮ったんですよ」
ぬわ、ぬわ、ぬわにーっ!
「これとかも……」
差し出されたアルバムをめくった俺は、さらにひっくり返ったのだった。
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そこには三陸の田舎から一歩も出ずに青春時代を過ごした俺が、平凡とか明星とかテレビでしか見たことがないアイドル達が並んでいた。

とりあえず今夜の湯豆腐は木綿でいこう。

ステージの尋常じゃない暗さもさることながらブッチギリの美少女ぶりを発揮する南 沙織。

なぜかどんな声だったか全然思い出せない岡田奈々。

最強無敵のランちゃんはパネルに。ちなみにウチの嫁さんは玉川高島屋でランちゃんを見掛けたことがあるらしいのだが、どうしてオバちゃんはただ見掛けただけなのに「今日高島屋で伊藤 蘭に会った!」ってヌカすんだろう。

「単に被写体によって決められている」。これつまり「俺が好きなアイドルしか撮ってないよ〜」ってことなのだが、誰に見せるわけでもなく書かれたこの注意書きからも千葉さんの写真に対するアツい思いが伝わるではないか。
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小学生の頃千葉さんは鉄道写真に凝りまくる鉄道小僧だったのだが、その流れで自然に……っつーのは無理があるか。
思うにまあ、写真を撮るのが楽しくてしょうがなかったんだろう。
なんか撮りたい。
もっと撮りたい。
でもなんでもいいわけじゃない。
やっぱり好きなもの……と、新たな被写体を求めてアイドルも撮るようになったという、いわばカメラ小僧のハシリ、元祖ヒビキ一郎とも言える人なのだった。
当時は結構なグレードのカメラを使っていたらしく、しまいにゃ知り合いから「撮れるでしょ?」的に頼まれて、情報誌のアイドル取材にカメラマンとして同行して松田聖子を撮ったこともあるっつーんだから驚きというか、そうか。俺も地元が東京でカメラ小僧になってれば知り合いから頼まれてデビュー直後くらいの薬師丸ひろ子と会えたかもしれない。いや薬師丸ひろ子が無理でも角川三人娘の中では一番人気がなかった渡辺典子にはたどり着けたかもしれない。俺は原田知世よりは断然渡辺典子だったし。でも渡辺典子は歌がヘタだったのよね。と思うと、なんかズルいというか。
「いや〜。それでそんなに喜んでくれるなら……」
俺が狂喜する姿を見て、千葉さんはホコリまみれの黄色い箱を出してきた。
俺はすぐに分かった。
それはお宝ボックスだと!
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次なるお宝写真の発掘に胸をときめかせざるを得ない雰囲気の宝箱なのだが……。

中から出てきたのは千葉さんが愛読していた雑誌『写楽』の付録ポスター。ってこれはこれで相当なお宝感。これはファンだった人でも一発で分かんないかもしんない浜田朱里。

折り目とか全然気にせずに撮っているポスターには裏もある。ちなみに高部知子の裏は永ちゃんだった。

杉田かおるの裏は眠っている猫の写真だった。

松本伊代と川上麻衣子、ヤセポチャのカップリングが絶妙のカレンダー。

斉藤慶子と中森明菜は光と陰のカップリングか。

今となっては人生いろいろありますねえ的な2人なのだが薬師丸ひろ子の次、いや一時期は薬師丸ひろ子よりも俺は石原真理子が好きだった。

気まぐれな恋もたまにはいいじゃないと思わせる雑誌のキリヌキも。

俺が中高生の頃は、大っぴらに「好き!」って言ってるヤツが周りにいなかった気がする池上季実子。この世の男を片っ端から手玉に取りそうな雰囲気がたまらない。というか手玉に取られたい(左手で)。

昔の片平なぎさって前頭筆頭くらいかと思ってたら大関クラスだったと再発見させられた1枚。輸出仕様のフルパワーって感じが池上季実子と違った意味でたまらない。

山口百恵の衣装からすると結構強引な組み合わせではあるが。

天野じゃなくて水沢。

アンベちゃん(静江)。

31年前の鈴鹿ひろ美。
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ということで、サルベージした雑誌はシラスのごとくに天日干しにしてから収納しました。

千葉先輩、あざっーっす!
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