長部 崇之 & YAMAHA XS650 Special(2012 1031) |

Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
中3から新聞配達のバイトを始めた。
早朝、自転車に大量の新聞を積み込むその重さったらとんでもなく、横を颯爽とYAMAHA NEWSMATE で走ってく同じバイト先の兄ちゃんを見て、「あっちの方が楽そうだな……」 と思った。
その新聞屋にはバイク乗りが多かった。
よくMATEで、フロントブレーキをかけ、アクセル全開でアスファルトに円いブラックマークを描いていたハチヤさん。
カッケーッ!と思った。
クモノさんが乗っていたKawasaki エリミネーター400SEもスゴいカッケー!と思った。
で、高2の夏にバイト代を握りしめ、教習所に入校した。
いま思い出せばそれが原点。
免許を取った後だと、やはりベンジーとセイジさんやRockersの影響は大きく、バイクの世界にのめり込むキッカケになりました。
★ 2 ★
年に何日もない、暑くもなく寒くもないベストな気温と体調と気分……。
その3つがマッチした時、アクセルを2500~3000回転くらいにした時の地面を蹴るトルク感がサイコー!
ヘッドライトのメッキに緑が映りこんだり、視界の全面に一面の海が開けた時もサイコー!って思います。
★ 3 ★
【その1】
8年半勤めた老人ホームを辞め、もらった退職金で'79 XS650SPLを購入。
次の仕事が始まるまでの1ヶ月間で阿蘇まで行こうと思い、テントやら何やらも買い揃えてリアシートに積載し、朝6時半に自宅を出発!
東名町田からひたすら西を目指してアクセルを開ける。
途中で雨に降られながらも11時過ぎに牧之原SAに到着。
「少しゆっくりしよう」なんて思いつつ駐輪スペースに入り、停めようと右足を出したら地面との抵抗がまったくなく、ツツーと足が滑る。
「舗装が新しいのかな?」 なんて思いながら停車すると、右足がエンジンオイルでビッショビショだった。
非常に怪しい予感 & バイク屋で点検してもらったほうがいいと思い、YAMAHAのお膝元だし、磐田に行けばなんとかなるだろうと思って高速を下りた。
でも磐田には何もなかったので下道で浜松へ。
見つけ出したYSP浜松でエンジンの様子を見てもらう。
この時点で「阿蘇は無理かな? 大阪まで行って帰るくらいが無難かもしれない」という思いが脳裏をよぎる。
「エンジン開けなきゃなんとも言えないですけど、これくらいなら大阪までは行けると思いますよ!」
メカニックのお兄さんの明るい笑顔に励まされ、日没間近のYSPを後にする。
でも、その5分後くらい。
XSは始動を試みてアクセルを開けるたび、激しい爆竹サウンド奏でるとともにエンジン停止を繰り返してご臨終。
2キロほど押して歩き、ビジネスホテルへ宿泊。
翌日XSは東京へとトラックに乗せられドナドナされていった。
せめてもの救いはバイク屋の店長さんが「まだ買ったばかりだから」と、部品代だけで、焼き付いたエンジンを直す工賃をタダにしてくれたこと。
その後も充電系がイカれたり、出費がかさみましたが今は快調です!
【その2】
今から8年ほど前、SRV250に乗っていた頃。
仕事が終わり、職場から自宅への帰宅途中、甲州街道が西武多摩川線をまたぐ陸橋を走っていた。
左車線を走っていたら、右車線を並走していたセダンが自分のバイクをまったく認識しないままウインカーを出しながら車線変更をしてきた。
当然、自分の右腕に車のドアが当たる。
反射的にフロントブレーキを握り、ロックしそうになる。
「このままフロントがロックしたら車体が流れておしまい!」 という判断が頭に流れたかどうかは覚えてないが、ブレーキを緩めてロックを回避した。
でもその分アクセルを全開してしまい、今度はリアタイヤが視界の前方に見える状態になり、リアル特攻の拓ちゃんというか単車でロデオマシーンな感じになった。
奇跡的にコケることはなく、次の信号で止まった時、後を走っていた軽トラのおっちゃんが窓から身を乗り出しながら「坊主! よく頑張った!」と叫んでいた。
あの時、下手したら死んでたかもしれないと思うと、今もバイクに乗れているコトを幸せに思う。
★ ★ ★
ウチから4番目に近い、つまりそこそこ歩くので滅多に行かない某コンビニに、たぶん週末だけバイトしてる感じのオバちゃんがいる。
滅多に行かないけど散歩の途中に寄ることがある。
大小4店ある地元の本屋のどこにも実話ナックルズが置いてないので、コンビニならあるかも……って感じで夢を託しているわけだが、ほぼ、ない。
なので友達から、「ナックルズでカブキを取材した」……といった、今でも実家の自分の部屋に「東洋の神秘 ザ・グレートカブキ」と書かれた週刊ゴングの折り込みポスターを貼ったままの俺にとってはかなりの特報が流れてきても、地元でサクッと手に入れることが出来ない。
いやしかし、富士桜(とうの昔に引退)、垣添(今年引退)、松鳳山(現役)みたいな感じで背が低くて小太りで二枚目でもないカブキのどこが好きだったんだろう、高校生の俺は。
よく描いてたなあ、カブキの絵。
顔だけだけど。
でもって高3の頃、映画『麻雀放浪記』とマンガ『ぎゅわんぶらぁ自己中心派』に心酔して麻雀に熱中していた俺は、リングアナによるコール後、カブキが右手を挙げて毒霧を吹く時に人差し指と中指の第一関節だけ曲げるのにも心酔していたので、ツモる時、その指を真似して「カブキヅモォーーッ!」という技も使っていた。
さらに「ザ・グレート国士無双」という麻雀ネームみたいなものまで名乗っていたという……あ。
思い出が噴出してしまった。
なんだっけ。
そう。
コンビニのオバちゃん。
俺が滅多に行かないコンビニのオバちゃんは、「はい! 日刊スポーツと……のどごし生!」とレジに持ち込まれた商品を声高々に読み上げるクセがある。
そりゃモノによっては黙ってるんだろうが、そのコンビニっつーより商店って感じがいいなあと。
長部君(takasi.osabe@facebook.com)とはコンビニで待ち合わせたのだが、そのコンビニのオバちゃんもいい感じだった。
お昼。
何かの工場だろうか。
同じ作業着の人達が入れ替わり立ち代わり昼メシを買いにやってくる。
通りすがりの営業マンや近所の工事現場の職人さんも加わって、レジの前には列が出来ている。
まさにかきいれ時。
猫の手も借りたい。
てんやわんや。
にも関わらずオバちゃんはテンパる様子はまったくなく、一部のおそらく常連と思われる男性客に対して気さくに声を掛けはじめた。
それは無機質なコンビニのレジ越しに交わされる感じのトークではなかった。
オバちゃん:「こないだ取ったの?」
常連客A:「ダメだ。かすりもしねー!」
(Aが外したレースは不明だがこの店、東京競馬場の近くだからね)
オバちゃん:「昨日出た?」
常連客B:「4パコ」
(Bが打った機種は不明だがオバちゃんとBは同じパチ屋に通っているようだ)
スナックじゃん。
西武池袋線・中村橋駅から徒歩5分くらいのところにあるスナックのババアがカウンターに座った客におしぼりを出す時みたいな感じじゃん。
そこがいい。
と思いながらコーヒーを買い、長部君のもとへ。
討論のテーマは政治だ。
いや、セイジだ。
セイジ論。
長部君も俺もセイジさんが好き過ぎるからセイジ論。
日が当たる駐輪場が暑くなってきたので日陰に移動して、少し寒く感じるくらいまで激論を交わした。
まあ、激論つーか大好き自慢だけど。
ぬお〜!
い〜ない〜な〜!
長部君はセイジさんがライヴ前に注入するジェットビアの空き缶を4缶持っているという。
世界一カッコいい潰れ方をしている空き缶を、4つも!
「1個だけココにあるんすけどね」
XSのサイドカバーを外すと、くちゃくちゃになった空き缶がお守り的にしまってあった。
いい潰れ方だ。
そこに圧縮されてるからね、セイジさんの気合いがね。
素晴らしい。
見開きでやろう。
と、心にメモ。
★ ★ ★
