更新後記 VOL.82 |






「何があるの?」って聞かれると答えに窮する街。
それが俺の住んでる街。
子供向けにはありますよ、電車とバスの博物館ってのが。
でも「電車とバスの博物館があるよ!」って聞いて「マジでか!? いいじゃん!」とは言われたことがないので一般的にはどってことない建物だと思う。
俺にとってもどってこたぁない。
いやしかし。
ホントに俺の街には「お!」ってなるものが何もないのか?
つーと……あった。
青いレガシーのボンネットにデカデカと「湾岸」ってステッカーを貼ってる初老のジイさん、通称「湾岸ジイ」をたまに見ると盛り上がる。
息子に勝手に湾岸ステッカーを貼られちゃったけど家にはクルマが1台しかないのでやむを得ず乗っている……俺は前に書いた時からずっとそう思っていたのだが、とある週末、酒を抜くため汗をかこうと歩いていた俺は、赤信号で止まっている湾岸ジイを発見した。
同じ車線上には安売りスーパーの駐車場待ちのクルマの列がある。
湾岸ジイは左折しようとしていたのだが、駐車場待ちの数台の中の先頭車両がちょっと交差点にはみ出し、湾岸ジイの行く手をふさぐようなカタチになっていた。
すると……。
ビビビビビビビイィィーッ!
湾岸ジイは気が狂ったようにクラクションを鳴らし、先頭車両に対してそこまで大回りしなくてもいいだろうぐらいな大回りで怒りをアピールしつつ、タイヤをキュイッと泣かせて交差点を後にしたのである。
あの走り……(正確には走りというより乱暴運転)
もしかしたらあの湾岸ステッカーは息子のしわざではなく、ジイさんが率先して貼ったのかもしれない。
そう思ってからは湾岸ジイを見掛けるとうれしい。
湾岸ジイは神出鬼没なのだが、午前9〜10時くらいに駅までの坂道を登ればだいたい会えるのが目が悪いおばあさんと黒い盲導犬。
俺はこの盲導犬が愛しくてたまらない。
見ていると本当に利口だ。
いや盲導犬はみんな利口で、黒い盲導犬的には「誰でもこんくらいやるぜ」って感じなんだろうけど1人の人間のために命をかけてる姿がカッコいい。
こういう人生もいいなって思う。
生まれ変わったらなりたいものの第一希望がマッコウクジラなのは変わらないけど盲導犬もいいなって思う。
そして黒い盲導犬とおばあさんとの出会いに思いを馳せたり、いつかくるであろう別れの日のことを考えたりすると朝から涙が出たりする。
朝泣きは結構疲れるよね。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
あと、やたらホースで水を巻き散らかしてお店の植木を手入れしてる愛想のない喫茶店のジイさんが気になってます。(総合司会・坂下 浩康)
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