2012年 03月 24日
君はバイクに乗るだろう VOL.69 |

初めて来たけどすっげ〜い〜蕎麦屋だ。
田園都市線沿線の新しめの小じゃれ気味の蕎麦屋にいがちなあまりに香水くっせーババアもいない。
いるのはパッと見、部長クラスのオッサンのみ。
部長はおろか課長とか係長とかの下で働いたことないけど。
チャラさゼロ。
でも全席全員が飲んでいる。
各席に1本は徳利がある。
僕もお酒をいただこうかな。
なんて言い方で酒を頼んだことないけど言ってみたくなる雰囲気の中、ビールと卵焼きを頼む。
今からライヴだから日本酒はライヴの後でいいや。
つって俺はその蕎麦屋で先輩と待ち合わせをしていたのだが、約束の時間になっても時間に厳しい先輩が来ない。
まあ、そういうこともあるかと蕎麦も注文。
お通しでビールを飲み始めると先輩からメール。
「もう入ってますよ」
え?
入ってないじゃん。
俺の周りには部長クラスしかいないじゃん。
電話を掛けると俺がいたのは支店で、先輩はとっくに本店に入っていることが分かった。
すんませーん。
ひとまず蕎麦の注文を取り消す。
でも卵は焼かれてしまった。
そして運ばれてきてしまった。
でも卵焼きとビールを2、3分で完食完飲する自信はない、というかそんな食べ方飲み方をしても美味しくない。
でもビールは開けちゃったので飲み干すことにした。
でも卵はどうする、このふかふかのウルトラ美味そうな卵焼きは。
ん〜。
本店はすぐ近くらしい。
客層もいいし、老舗中の老舗みたいな空気が充満している店なので嫌な顔されるかもな〜と思いながらも、本店で先輩と食べたいのでラップして持ち込ませて欲しいと頼んでみるとあっさりケイオツだった。
しかも歩いて1分もしない本店まで店のオバちゃんが案内してくれるという。
ラップされた卵焼きを片手にオバちゃんと2人きりでエレベーターに乗り、本店へ向かう。
いやいやいやいや。
さたごぶで。
もう日本酒を飲んでいる先輩の向かいには見慣れない男が座っている。
先輩の古い知り合いの業界人かなんかだろう。
まあ、誰でもいい。
美味しい卵焼きを持ってきましたよ〜。
「ダンナ久しぶり〜」
あれ?
俺をダンナ呼ばわりするとは?
チミはお前か?
全然分かんなかった。
ってほどじゃないんだけどよく見ると。
でも分かんなかった。
ヒゲ生やしてたから。
なになにどしたのそのヒゲは?
俺はてっきり小じゃれたいがためのヒゲだと思っていたのだがそうじゃなかった。
ソイツは去年の大震災後、避難所の人々を映像で見て「ヒゲ剃ってる場合じゃねえな……」と思って以来、ヒゲを伸ばしているのだという。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
ヒゲ剃ってる場合じゃない。
この言葉には何種類かの感動があった。(総合司会・坂下 浩康)
★ ★ ★
by hoya3104
| 2012-03-24 00:10
| バイク面(COVERS)
|
Comments(0)