伊藤 聡司 & kawasaki 500SS MACH3(2012 0217) |

Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
高校の頃、みんな当たり前に原付取って、「じゃ、俺も」ってなって、バイク買えないから家にあるSUZUKIの薔薇にツヤ消しブラックと白のナックルライン塗装して乗ってた。
で、みんな当たり前に中型取って、「じゃ、俺も」ってなってバイク買えないから友達から安く譲ってもらったHONDA '87NSR250に乗ってた。
「これに乗りたい!」っていうよりバイクに乗れてることがうれしかった。
そのNSRが壊れちゃって自分で初めて400買うんだけど、その頃ちょうど緑のサンバーストカラーのYAMAHA SR400が限定発売されたんですよ。
めちゃくちゃトキメキました。
だけど新車でなんて買えなかったのと、当時バイトしてたガソリンスタンドの先輩とかがネイキッドだったこともあり、天邪鬼で人と同じのが嫌だった俺は、規制前の少しでもパワーあるヤツがよくてKAWASAKI GPZ400Fを買ったんですよ。
なんでかってあまり意識したことないけど、いま思えば、子供の頃に観た『TOP GUN』でトム・クルーズが乗ってたKAWASAKI GPZ900R NINJA。
たぶんコレ。
で、友達はサンバーストのSR買って自慢してきた。
悔しかったけど、そのSRは3年後に俺の物になるの。
マンガは『特攻の拓』と『湘南純愛組』
こちらはバイクに乗り始めてから影響されたかな。
説明不要。
天羽 時貞のルシファーズハンマー。
SR400なのにゼロヨンで900NINJAぶっちぎり。
モンスターと言われた成れの果て……来栖 奈緒巳のマッハ3。
どちらも憧れだけで終わると思ってた。
★ 2 ★
俺ね、マシンと対話しながら乗るのが好きなんですよ。
「調子はどうだい?」って。
もちろん声なんてないけど、排気音、アクセルレスポンス、メカノイズ、挙動……五感で対話するの。
SRに乗りながら、カスタムだけじゃなくて簡単なエンジンチューンなんかも自分でやるようになった頃。
どうにもエンジン調子悪い。
走るけどフケない。
キャブやら点火系やらいろいろやってダメで、嫌気がさしてほったらかしにした。
結局原因はジェネレーターだったんだけど、そいつを交換してプラクティスに出た時に上までキレイに吹け上がった時。
「おっしゃー! お前サイコー!」って。
バカでしょ……ははははは!
★ 3 ★
【その1】
GPZにシンプソンで本物の人達に憧れていた高校生の頃、保土ヶ谷で仲良くなった本物の白い火の玉カラーのZ乗り。
俺みたいなガキンチョからすると、本物の人達って近寄りがたかったですよ。
でもその人は気さくに話しかけてくれて、見かけると声かけてくれるようになったんです。
当然生息域が違うから一緒に走ったこともないし、保土ヶ谷で話すくらいだったんだけど、毎週のように来てたし俺もほぼ毎週行ってたから、帰りは冗談混じりに「また来週」ってのがお約束の別れの挨拶。
多分蒸し暑くなる前の梅雨明け間近くらいだったと思う。
その日はあまり天気良くなかったんだけど、雨は降ってなかった。
でも友達は、雨降りそうだからって保土ヶ谷には行かないと言う。
俺はそんな友達にイライラしながら1人でGPZに乗って行った。
そしたらやっぱりその人もいて、いろんなバイクの話をして、ガキンチョには触る機会もあまりないZ1にまたがらせてもらったり。
で、いつもみたいに「また来週」って冗談混じりに別れた後、別の友達が来たので1~2時間後に保土ヶ谷を出たら、東京方面に向かったはずの白い火の玉カラーのZが保土ヶ谷バイパスでグシャグシャになって路肩に放置されてたこと。
最悪って言うかなんとも言えない感覚でした。
名前も知らない、週末だけの兄貴みたいな人。
缶コーヒーごちそうさまでした。
【その2】
第三京浜をGPZで走ってたら、同じ中型だからですかね。
ゼファーにアオられて、やりあったんですよ。
まあ、400なんでレベルの低い意地の張り合いです。
「非力なゼファーのくせに!」(多分向こうは「型遅れ」とか「旧車のくせに!」って思ってたと思うけど)
で、気づいたらゼファーがかなり後ろなんですよ。
「あれ?」って思って150くらいで流して待ってたら、代わりに赤灯回した覆面が来ました。
「マジかーっ!」て……免許取消し。
【その3】
クルマの免許取ってバイクの免許取り直して数年後。
友達のクルマと俺のSR2台で立川に向かう途中、
道が混んでて、クルマに合わせるのもなんだったし、目的地は一緒だし、クルマには2人乗ってるしで、「俺、先に行くわ」って、ぶぃ~んと飛ばすも後ろから追いついて来たのは友達の代わりに赤灯回した覆面でした。
「マジでかー!」って免許取消し2回目。
バカでしょ。
【その4】
一昨年の夏の土曜の夜。
第三京浜を流した帰りに一般道をダラダラと走っておりましたところ、信号青の交差点。
真っすぐ進む私の左側を走っていた自転車が、交差点を通過しようとする私の前をフラフラと斜め横断。
で……「どっか~ん!」ですよ。
自転車の兄ちゃんは酔っ払いながらヘッドホンで大音量、携帯いじりながら無灯火で信号無視。
挙句逆ギレ。
最悪でした。
自転車乗りのみなさん、軽車両という自覚をもって安全運転でお願いします。
★ ★ ★
つい先日、20年くらいの付き合いになる2児の父を取材した。
ヤス(実名)は大学時代、俺がたまたま入社できた編集プロダクションで中古車雑誌のバイトをしていた。
ヤス(俺はそう呼んだことはない)は俺の斜め後ろのデスクに座り、全国のバイク屋さんから送られて来た膨大な中古車情報をパソコンに打ち込んでいた。
仕事中、ヤス(ヤスのことを「ヤス」と呼ぶのはヤスのお父さんの仕事仲間の職人さんがメイン)はよくポテトチップスを食べていた。
いいんですよ。
俺も嫌いじゃないし。
でもヤスは、筒に入ったポテトチップスならまだしも、袋入りでかつガーリック入りとかのポテトチップスを袋から何枚もつまみ出してはバリバリ食い、その手はどうするの? 拭かないの? 舐めんのかよ! というような「俺は絶対ヤだ」と思うような食べ方を推奨していたというか実践していた。
やはり俺はパソコン作業中はキーボードを食べカス、ツバ、ルーシー等で汚すことがないベビースターラーメンの袋からの流し込み食いを推奨したい。
それはともかく、ヤスのキーボード技術はすさまじかった。
打つのがとにかく早かった。
部屋に閉じこもってスナック類、お菓子、コーラ等を過剰摂取してぶくぶく太ったアメリカの若いハッカーみたいな感じ。
俺は、部屋に閉じこもってスナック類、お菓子、コーラ等を過剰摂取してぶくぶく太ったアメリカの若いハッカーに会ったことは無論ない。
それもともかく、ある日、いつものようにポテチをべちゃべちゃ食い、ときどき屁をこいたりしながらヤスが仕事をしていると、当時すでに編集者歴15年くらいじゃなかったかと思われるやや面倒くさい先輩がやって来て言った。
「何やってんだよ〜」
ヤスは即答した。
「鼻クソほじってるように見えますか? 仕事してんすよ!」
先輩としてはファーストコンタクトを経由して、「物を食い散らかしながら仕事をするんじゃない!」という軽い説教でもしてヒマつぶししてやろうというコンセプトだったと思われるのだが、プレイボールのサイレンが鳴り止まないうちに初球を打っての先頭打者ホームランみたいなヤスの即答の勝ちだった。
「マッハに乗りたい」ではなく、「このマッハに乗りたい!」という方。
熱意と値段により譲ります。
連絡先=yellow-mach@i.softbank.jp
これは、サトシ君からの伝言なのだが、このメッセージを見て、いにしえの中古車個人売買が思い浮かび、必然的にヤスを思い出した俺なのだった。
★ ★ ★
