マンガ『君はバイクに乗るだろう』#22(Goo Bike vol.163) |





子供は特等席を作る天才だ。
俺は子供の頃、海の幸と山の幸が並ぶ地元の魚菜市場がこの世で一番大きいスーパーだと思っていた。
市場の前はなんの変哲もない片側1車線の道路。
母ちゃんが買い物をしている時、俺は外に出て、その道路を走るクルマを見ているのが好きだった。
つーても、岩手のド田舎、陸の孤島なのでホイホイ外車が走ってるわけじゃない。
スーパーカーブームの頃、ウチから歩いて5分の公園の近くにロータスヨーロッパが1台あったくらいしか故郷で外車を見た記憶がないんだから。
だからほとんどふっつーのクルマ。
なんとか水産って書いてあるトラック。
焼きイモ屋さんの軽トラ。
大工さんの軽トラ。
何屋か分かんないけど軽トラ。
いま思えば盛り上がりに欠けるラインナップ。
何が楽しかったんだろうと思う。
でも楽しかったのだ。
押上でナイスガイの撮影をしていると「カメラ=スカイツリーを撮りにきた人」と思われるらしく、「この先の橋の上から撮るといいよ」とか聞いてもいないのに言ってくるオジさんがいたのだがそうじゃない。
そういうんじゃないんだ。
特等席は自分で決めるんだ!
今だと富士屋本店の階段降りて突き当たりのカウンターかな〜(←そういう席ではなく)
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