更新後記 VOL.61 |





DJのランです。
嘘です。
僕です。
クリスマス界隈の思い出、いきます。
1995年の冬の深夜。
会社には数人が残って仕事をしていた。
後ろではストーブがガンガンに焚かれている。
確かJ-WAVEだったか。
誰に聞かれるでもなく流れているラジオ。
淀んだ空気。
「早く仕事を終わらせなくちゃ……」という使命感をいろんな気持ちが追い越していく。
早く帰りたい。
でも寒いから外に出たくない。
だから会社に泊まって寝たい。
でも寝る前にブリトーが食べたい。
でもブリトーをセブンイレブンに買いに行くために外に出たくない。
つか飲みたい。
つか飽きた。
「このラジオにリクエストを出そう!」
ふと思った。
思った瞬間から勝利を確信して俺はほくそ笑んでいた。
普通の人なら寝てる時間。
「も〜この番組が楽しみで楽しみで!」っつーより、ただ流してるヤツのほうが多いはず。
そんな中、わざわざFAXでリクエストを送るヤツは相当なヒマ人か、女DJのストーカーくらいなもんだろう。
かつ、当時の俺は読者ページを担当していたので、採用とボツとの境界線には敏感だった。
この女DJには「まだ仕事終わんねっす〜。ねみーっす〜」的な年下のオニイちゃん感を演出すれば大丈夫。
俺のFAXを読めば、「え〜? この時間までお仕事〜? うーん、ガンバ!」ってなる、つか、ならせる。
俺はこっそりFAX番号をメモってマジックペンを持ち、トイレに行くフリをして廊下に出て、コピー機からA4用紙を1枚抜き、メッセージを書いて送信した。
数分後、俺がアルバイトのオニイちゃんのフリをして出したリクエストに応え、ラジオから森高千里の『ジン ジン ジングルベル』が流れてきた。
勝った。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
DJのランの棒読み感は嫌いじゃない。(総合司会・坂下 浩康)
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