君はバイクに乗るだろう VOL.60 |

篆刻。
何も見ないでボールペンで紙に書いてみてって言われても絶対書けないけど「てんこく」と読む。
数年前、俺は「Tenkoku - Set」なるものを妹からプレゼントされた。
長方形の小箱に入ったセットの中身は、カナブンの墓石にちょうどいいサイズの長方体の石、印刀、紙ヤスリ等。
石に好きな文字を彫り込んで「自分だけのオリジナル印が作れますよ」っつー……なんだろう、アイデア商品か。
違うか。
エコグッズ……でもないか。
文房具。
近い。
おもしろ文房具。
かなり近い。
かなり手先の器用なヒマ人向け文房具(略してカナブン)
これでいこう。
かなり手先の器用なヒマ人向け文房具を妹にもらった数年前の俺は、石の中でも一番太くて彫りやすいので1つ作ってみた。
海鞘。
と書いて「ほや」と読む。
海鞘印。
太めの石は3本ある。
そのうち完成までたどり着いたのが1本。
1本は「海」のサンズイがガゾガゾになって取り返しがつかなくなって見なかったことにした感じ。
1本はアルファベットで「HOYA」と入っている。
すぐに飽きたんだろう。
細めの4本はまっさらな状態で残っている。
年賀状の裏に押すくらいしか用がないハンコなので、年末に使った後は1年間、箱を開けることもなくずっと机の上のセロテープ台の横に置いてあるわけだが、先日、なんか邪魔っけなのでしまおうと思い、箱を開けて驚いた。
ずーーーっと、ハンコだハンコだココにはハンコが入っていると思っていた箱の中には、手つかずのチョコが入っていたのである。
箱違い。
ただ今の決まり手は、箱違い。
そういや今年のバレンタインデーに妹からもらった気がする。
大きい栗ぐらいのサイズのチョコが3つ。
そこそこいいチョコなんだろう。
箱の中で夏を越したのに溶けてない。
何事もなかったかのような茶色い顔。
すげえな、お前。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
超もっさもさだったけどチョコは全部いただきました。(総合司会・坂下 浩康)
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