マンガ『君はバイクに乗るだろう』#11 (Goo Bike Vol.141) |





手探り。
そりゃそうだ。
一色さんと仕事するのは初めてだから。
手探りだけど、詰める。
登場するバイクの画像、シナリオってほどのもんじゃない走り書きと、ラフってほどのもんじゃない落書き。
俺が持ち込んだのはこの3つ。
一色さんが欲しいのは1つだけだった。
俺は走り書きと落書きを引っ込めた。
俺は先発だ。
ストーリーを投げる。
一色さんは1回表の先頭バッターで、初球から振ってきたり見送ったり。
俺も打つ。
一色さんも投げる。
暴投もある。
バントもする。
凡打もある。
言葉が空間を飛び交う。
ふんふんふん。
投げ合って打ち合って9回裏。
ド真ん中の直球を一色さんが真芯でとらえて打ち返す。
そう。
音にすると、まさに「カキーン!」って感じ。
ここまでが、いわばイメージを共有する作業。
で、俺はほとんど試合終了。
でも一色さんは、そこから間髪入れずに第2試合に突入する。
目の前で4ページのラフを描き始める。
描き終わるまで、一色さんは何も言わない。
黙々とペンを走らせる。
俺も何も聞かない。
黙々とマンガを読んだり、コーヒーを飲んだり、メールを打ったりしながら「いいご身分ですね」って感じで待っている。
そして1時間半から2時間が過ぎた頃。
「どうでしょう?」
生まれた。
こんな感じで作ってます。
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