更新後記VOL.50 |






初めての街。
オリジン弁当。
他に特筆すべきこともなく少し歩くと、片側3車線の道路に出た。
その名も「ゴム通り」
いい名前だ。
俺は思わずいにしえの記憶をたぐり寄せた。
アイムソーリー、ゴムゾーリー、竹下ソーリの……(なにか気の利いたことを言おうとしたけど思いつかず)ゴム草履……。
これは、1988年の夏に、仙台のスポーツランド菅生で開催されたロックンロールオリンピックというイベントに出演したアンジーの水戸華之介が、『天井裏から愛を込めて』を歌う前のMCです。
カビ臭いのも素敵なもんですね。
ノスタルジックな感傷に浸りながら取材先に向かう。
と、そこに。
「ウゥ~~ン!」
白バイのサイレンの音は意外と言葉にしづらい。
とにかく「ウゥ~~ン!」というサイレンが鳴り響いたと思ったら、目の前で信じ難い光景が繰り広げられた。
まず、歩道を歩く俺に向かって、1台の白い原チャリが突っ込んできた。
白バイはスクーターを追尾中だったのだ。
しかも原チャリは、歩道とはいえゴム通りを逆走しているので、白バイも歩道ギリギリまで寄りながらゴム通りを逆走して追っている。
これは真っ昼間っから、具体的にいうと午前11時くらいから激しすぎる!
でも、原チャリのオニイちゃんの顔は涼しげだった。
土俵下の白鵬みたいな落ち着きぶり。
白バイを挑発するように片手運転を繰り出している。
アッという間に通り過ぎていく2台。
振り返って目で追う俺と、通りすがりのジイさん(1名)
少し走ったところで、原チャリはゴム通りを横断。
向こう側の3車線に突入し、再び逆走を始めた。
どんだけ自由なんだあのオニイちゃんは。
白バイも逆走して追尾を続行。
相当アタマにきているだろうが冷静なアクセルワーク。
さすがの交通機動隊。
さらに原チャリは信号を2つ3つ気軽に無視。
そして「信号なんて知〜らない」みたいな雰囲気で赤信号に突っ込み、3車線がクルマでみっちり埋まった中をスリ抜けていく。
どうすんのどうすんの!?
向こうからバイクがスリ抜けてきたらどう逃げんの!?
怒りの赤灯を炎のように回しながら白バイも突っ込んだぞ!
どうなんのどうなんの!?
そして物語は思わぬ展開に……。
レディース & ジェントルメン! & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
白バイと原チャリはそこで見えなくなってしまいました。
オチはないので謝ります。
アイムソーリー、ゴムゾーリー、菅ソーリの……ゴム通り……。(総合司会・坂下 浩康)


