岡部 亮介 & kawasaki Z650LTD(2011 0424) |

Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
小学生の時、今はなき国立のスカラ座で観た『MADMAX』『MADMAX2』の2本立て。
父親に連れられて行ったんですけど、バイクがどうこうというより、マシンの咆哮にヤラレました。
映画自体は怖かった。
でも、あの咆哮は自分の中に残りましたね。
あとはピーター・フォンダ主演の『ワイルド・エンジェル』を深夜TVで観た時。
排他的なバイカー達の姿に憧れました。
音楽ならMAD3、DAVIE ALLAN & THE ARROWS。
FUZZの爆音、ノイズにバイクを感じました。
書籍は、花村萬月『重金属青年団』
これまた排他的なカタナ乗り達に憧れました。
特撮モノだと『人造人間キカイダー』のハカイダー。
全身ブラックレザーのルックスとマッハにヤラレました。
そして美大時代に出会ったバイク乗りの先輩。
とにかくいろいろ教えてもらいました。
「乗ったバイクはすべて最高速を出してみる」って言葉がカッコ良かったなあ、真似はできなかったですけど。
かつての自分はバイクに、排他的な、アウトロー的な部分を求めていたようです……そういう人間ではないので。
★ 2 ★
アクセル全開の吸気音、排気音……そして風切音。
その混沌としたノイズを聴いている時は「バイク乗ってて良かった」と思います。
バイクに乗っていたからこその人との出会い。
自分の腕ではとても速く走れないような道を走っている時の頭の中の真っ白具合。
日常生活であんな瞬間、滅多にないです!
★ 3 ★
転倒、立ちゴケ、押し歩き、レッカー車で帰宅、右折車線でエンスト、パーツがない……まあ、それくらいはひと通り経験してますが、最悪と言えることはないです。
★ ★ ★
そんなこともあるんだねのコ〜〜ナ〜〜!(まばらな拍手 not まだら狼=馬之助)
MM系の空冷4発として名高い650LTD。
岡部さんが手に入れたのは約半年前のことだ。
ヤフオクでバイク探してたら安いのがあったから。
というわけではなく、そこには大いなる志があった。
乗りたかった。
欲しかった。
クロスしたエキパイが奏でるハーモニーに酔いしれたかった。
つーてもなんせMM系。
ホイホイそのへんに転がっているバイクではない。
そもそもそのへんにバイクがホイホイ転がっている街は歩きにくいよね。
しかし、少年野球小僧のユニホームの汚れのように頑固な岡部さんの気持ちは揺るがなかった。
思いは通じた。
いた。
めっけ。
ある日、目の前に1台の650LTDが現れたのである。
つか、現れたというよりも放置気味に置かれていた650LTD の前に岡部さんが通りかかった。
そこは、小さな川に沿って続くガードレールの最後のあたりとか、大きな街道沿いにあって、サビサビの自転車が5、6台捨てられていて、心ない人間が放置自転車を気楽に追加してしまうような雰囲気になっている歩道橋の下とかではない。
人んち。
誰んち?
分からないならピンポンだ。
表のバイク、もし乗っていないのであれば、もしこれからも乗る予定がないのであれば、譲っていただけませんか?
オーナーはガレージに案内してくれた。
そこには、バイクだのクルマだのが所狭しと並んでいた。
「売りません」
え〜、この流れで「売りません」なわけ〜?
と、ジェントルな岡部さんが思ったかどうかは別にして、しかし。
「売りませんけど、差し上げます。その代わり……」
【用語解説】
MM系(滅多に、見ない/まあ、見ない/まれに、見る)
ここで用語解説が入るとは思わなかったね。
「その代わり……」
オーナーが出した条件は、知り合いのショップで面倒を見てもらって欲しいということだった。
一も二もなく岡部さんはこれを了承。
晴れて650LTDのオーナーとなったのでした。
【検証結果】
見ず知らずの人の家のピンポンを衝動的に押してしまうナイスガイは46人に1人くらいいる。
でもって「そんなこともあるんだね」的にバイクを手に入れることができるラッキーガイも46人に1人くらいいる。
そんな46人に1人くらいのピンポンガイ・岡部さんは造形工房『OZ-ART』のボスです。(http://www.oz-art.co.jp/)


