2011年 03月 02日
TX人情物語 〜運命は軒先に転がっていた〜 |
「ウチの嫁さんも岩手ですよ」
ここまでは、ある。
でもこれは滅多にないというか生まれて初めてだった。
「岩手のどこ?」
「宮古です」
ズドン!
え~~~っ!
SR小林君(http://youWbike.exblog.jp/15510451/)を撮影後、僕は超ひっくり返った。
そこはまさに僕のふるさとの田舎町だったからである。
住所を聞いたら奥さんの実家は僕の実家から10分くらいの近所だった。
さらに、忙しいフリして里帰りをぶっちぎってばかりの罰当たりな僕と違い、小林君は毎年、お盆になると家族で帰省していて、宮古市内の美味いラーメン屋や居酒屋もよく知っていて「三陸の海に潜ると癒される、背筋が伸びる、生まれ変わった気になる」なんてことを言うのである。
これにはただならぬ縁を感じざるを得なかったわけだが、小林君は、そんな出会いを呼び込む星の下に生まれているのかもしれない。
★ ★ ★

1999年6月のある日。
いつもの通勤ルートを歩きながら、小林君はふと、ひらめいた。
「違う道で帰ってみよっかな~」
その思いつき自体はどってことない。
言っちゃえばただの気まぐれボーイだ。
しかし、それは運命に導かれた物語の始まりだった。
ある家の前を通りかかると、朽ち果てた1台のバイクが見えた。
吸い寄せられるように近づく。
見れば見るほど朽っち朽ち。
「こりゃ~キテるな~」
よく見ると、それは憧れのバイクだった。
「ティ……TXじゃんかーーッ!!!!!!!」
ピンポ〜〜〜ン。
すかさず小林君は呼び鈴を押した。
「何かアクション起こさないと!」
そこに躊躇はまったくなかった。
ドアが開く。
出てきたのはその家の奥さんだった。
その家の奥さんじゃない奥さんが出てくるわけがない。
外のバイクは誰の物ですか?
今は乗っていないんでしょうか?
飛び込みの営業マンばりに矢継ぎ早な質問を浴びせる小林君。
しかし、オーナーさんは不在だった。
数日後に出直した小林君は、オーナーさんから話を聞くことができた。
まずは状態を確認する。
「5~6年はエンジンも掛けてない」
そして話を続けるうち、TXに隠された背景を知る。
仲間の形見。
そこには、エンジンを掛けることがなくなっても、オーナーさんがTXを手放さずにいた理由があったのだ。
「もし乗っていないのなら譲っていただけませんか?」なんて、言い出せるはずもない。
小林君はオーナーさんの思いを感じていた。
そしてオーナーさんには、小林君の気持ちが伝わっていただろう。
でも……。
思い出のバイク。
突然現れたバイク好きの若者。
雨ざらしの6年間。
仲間の笑顔。
過去と現在が交錯する。
簡単に踏ん切りがつくはずもない。
「初年度登録はいつだろう?」
オーナーさんは書類を見ながら読み上げた。
「昭和49年の……3月……」
それは、小林君が生まれた月だった。
「これは運命だから、直して、また走らせて欲しい」
TXは、同い年の若者に託された。
レストアは苦労の連続だった。
圧縮4.5Kでスッカスカのエンジン。
キャブもカッチカチでまったく使い物にならない。
当時はネットオークションのような便利なモノもなく、ひたすらパーツ専門誌で代替品を探す日々。
エンジンとキャブを見つけ、本格的にレストアがスタートしたのは、TXを譲り受けてから5年後のことだった。
フレームとリア廻り以外の全てを交換することになったTX。乗れたのは2000kmくらいだった。
TXの写真が1枚しか入手できなかったので撮影前、小林君を待っている時に目撃したゴミ収集車群予告(信頼度★★)を友情出演的に投入。 
TXの写真が1枚しか入手できなかったので撮影後、トイレを借りた公園施設に飾られていた、そこを伏せ字にする意味はあるのか的なぬいぐるみを脇役的に投入。
TXの写真が1枚しか入手できなかったので撮影後、小林君にいただいた岩手の醤油をエキストラ的に投入(with チームおかめ)


ここまでは、ある。
でもこれは滅多にないというか生まれて初めてだった。
「岩手のどこ?」
「宮古です」
ズドン!
え~~~っ!
SR小林君(http://youWbike.exblog.jp/15510451/)を撮影後、僕は超ひっくり返った。
そこはまさに僕のふるさとの田舎町だったからである。
住所を聞いたら奥さんの実家は僕の実家から10分くらいの近所だった。
さらに、忙しいフリして里帰りをぶっちぎってばかりの罰当たりな僕と違い、小林君は毎年、お盆になると家族で帰省していて、宮古市内の美味いラーメン屋や居酒屋もよく知っていて「三陸の海に潜ると癒される、背筋が伸びる、生まれ変わった気になる」なんてことを言うのである。
これにはただならぬ縁を感じざるを得なかったわけだが、小林君は、そんな出会いを呼び込む星の下に生まれているのかもしれない。
★ ★ ★

いつもの通勤ルートを歩きながら、小林君はふと、ひらめいた。
「違う道で帰ってみよっかな~」
その思いつき自体はどってことない。
言っちゃえばただの気まぐれボーイだ。
しかし、それは運命に導かれた物語の始まりだった。
ある家の前を通りかかると、朽ち果てた1台のバイクが見えた。
吸い寄せられるように近づく。
見れば見るほど朽っち朽ち。
「こりゃ~キテるな~」
よく見ると、それは憧れのバイクだった。
「ティ……TXじゃんかーーッ!!!!!!!」
ピンポ〜〜〜ン。
すかさず小林君は呼び鈴を押した。
「何かアクション起こさないと!」
そこに躊躇はまったくなかった。
ドアが開く。
出てきたのはその家の奥さんだった。
その家の奥さんじゃない奥さんが出てくるわけがない。
外のバイクは誰の物ですか?
今は乗っていないんでしょうか?
飛び込みの営業マンばりに矢継ぎ早な質問を浴びせる小林君。
しかし、オーナーさんは不在だった。
数日後に出直した小林君は、オーナーさんから話を聞くことができた。
まずは状態を確認する。
「5~6年はエンジンも掛けてない」
そして話を続けるうち、TXに隠された背景を知る。
仲間の形見。
そこには、エンジンを掛けることがなくなっても、オーナーさんがTXを手放さずにいた理由があったのだ。
「もし乗っていないのなら譲っていただけませんか?」なんて、言い出せるはずもない。
小林君はオーナーさんの思いを感じていた。
そしてオーナーさんには、小林君の気持ちが伝わっていただろう。
でも……。
思い出のバイク。
突然現れたバイク好きの若者。
雨ざらしの6年間。
仲間の笑顔。
過去と現在が交錯する。
簡単に踏ん切りがつくはずもない。
「初年度登録はいつだろう?」
オーナーさんは書類を見ながら読み上げた。
「昭和49年の……3月……」
それは、小林君が生まれた月だった。
「これは運命だから、直して、また走らせて欲しい」
TXは、同い年の若者に託された。
レストアは苦労の連続だった。
圧縮4.5Kでスッカスカのエンジン。
キャブもカッチカチでまったく使い物にならない。
当時はネットオークションのような便利なモノもなく、ひたすらパーツ専門誌で代替品を探す日々。
エンジンとキャブを見つけ、本格的にレストアがスタートしたのは、TXを譲り受けてから5年後のことだった。







by hoya3104
| 2011-03-02 09:20
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