山崎 哲哉 & HONDA CB350 SENIOR(2011 0206) |

Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
中学生の時、遠く高知県から引っ越してきて友達もなく学校にも馴染めず、完全にドロップアウトしてブラブラしてたら、近所でバイクに乗ってる兄ちゃんに会った。
当時クソガキの僕は何も分からなかったけど、カワサキのKH400を500ccにしてあるヤツ。
ピンクのグラデーションで完全に族車だったけど、ビートの3チャンバーにスワローハンドル、シングルシートでフォルムは完全にカフェレーサー(西山先輩、今はちゃんと分かるヨ)
後日知ったんですが、彼は大泉のバンパ★ヤという暴走族で、地元じゃ伝説的にスゴい人。
でもヒマだったんだろうなあ。
名前も知らないガキにシフトの入れ方を教えてくれて、通ったら乗り方まで教えてくれた。
コリャすぐにバイクを手に入れよう!
と企んだのが始まりです
★ 2 ★
コレっていう出来事じゃなくて、日々バイクに乗って出会えた人達かな?
利害関係もなく、年齢も性別も生活も見せ合わない。
けど、ハートはスゴく近くにあるような。
何も知らないけど、なんか「すべてOKだよ!」みたいな。
なんだかよく分かんね〜けど、バイク乗りって特別な部族みたいな。
★ 3 ★
ずっと遠ざけてたロックバンドを組むことになって、知り合ったばかりのメンバー2人。
2人ともバイクが生活の一部になってて、すぐに昔から知ってる仲間みたいになって「どっか走りに行こうぜ!」って出かけた真夜中真冬の第三京浜ナイトクルーズ。
3台でチェイスしながら飛ばし続ける。
保土ヶ谷バイパス3車線は車もまばら。
少し調子に乗りすぎてたんだろう。
後ろからトラックが猛加速しながら3台の間に割って入ってきた。
と、僕のすぐ左に真っ赤な巻き込み防止の鉄板が迫ってくる!
左足を引っかけられて、スローモーションみたいにバランスが崩れていった。
我が身可愛さにバイクを放り出して飛んだ。
地面とコンバンワ。
衝撃の後は記憶がイマイチなんだけど、一番右車線を走ってたはずなのに、左車線のガードレールまで吹っ飛んでた。
立ち上がってバイクを路肩まで押す。
後続のクルマのライトが一列に光ってた。
キックしたらエンジンは掛かる。
でもハンドルはオートレーサーみたいにヒン曲がってる。
レバーはくの字。
目がよく見えない。
コンタクトレンズが両眼とも衝撃で吹っ飛んでた。
ヘッドライトは完全に御臨終。
目も見えてない。
でも、僕を巻き込んだ後、一旦停止したトラックのテールランプがゆっくりとぼやけた視界から遠くへ離れていく。
追っかなきゃ!
絶対にぶっ飛ばす……と誓いながら、いや「ぶっ飛ば〜す!」と叫びながら追う!
ライトなし。
目は裸眼。
無理だ。
みるみる離されていく。
目が見えない自分は道路の脇で、独り途方に暮れていた。
ツレの2人は僕の代わりにトラックを追いかけたんだけど、空荷のクルマに巡行速度で追いつけず、転倒したであろう僕を心配してUターンして戻ってくれた。
ボロボロのツナギ。
左半分は雑巾みたいになっていた。
体半分をガムテープでグルグル巻いて、板橋まで2人が僕をねぎらうように前後をはさんで走ってくれた。
戻った頃には朝日が……。
オマケに牛丼おごってもらった。
今は保土ヶ谷事件として笑い話になっている。
「ありゃ〜ヤバかったよ〜」とか「よく死なんかったな〜」とか。
でも、あれほど情けなかったことも、友達を温かく感じたこともないかなぁ〜 。
あ。
80km/h以上でアスファルトを転がると3日間寝込みます。
幸い着膨れてたから、全身打撲とあちこち裂傷と擦り傷があったけど骨折なしで命にも別状なしでした、トホホ。
ヤッサン & ユウジ、あん時はアリガト。
★ ★ ★
「廃墟があるかも」と、山崎さんが教えてくれた。
地図を見ると、そこは米軍キャンプの跡地らしい。
コンクリの破片。
錆びた鉄骨。
もしもキレイに残されている窓ガラスがあったら「ウェエァーッ!」と叫びながら棒っ切れで、時にはヒジ打ちも駆使して叩き割ろう。
廃墟には武器商人がいるんだよね。
「たいていのモンなら俺が手配してやるぜ」と豪語する小学生もいるよ。
笑い方が気持ち悪いギョロ目のハゲオヤジもセットです。
しかし、現場に着いてみると廃墟らしい廃墟はなかった。
廃墟があったと思われるエリアは金網で仕切られていて、整備不良の井の頭公園みたいな感じだ。
ときどき市の職員とかが掃除したりしているんだろうけど、結構なほったらし感にあふれ、広い敷地内は枯れ葉で埋め尽くされている。
ぐるっと回ってみた。
周囲には図書館、野球場、陸上競技場といった健全な施設が揃っていて、廃墟になるのを待ちわびるようににぎわっていた(錯覚)
元廃墟には誰もいないはずなのに、ガサ……ガササと、何かがうごめく音がする。
ド田舎の山奥で育った経験から、枯れ葉の上でこういった音を発するのは4本足でシッポが付いた生き物と思って間違いない。
と思ったら小鳥だった。
去年、『CYCLE BOSS』(http://ego-trip.jp/cycleboss/index.html)にお邪魔した時、ショー前で疲労困憊 & 風邪気味のアベ店主が「こんな雑誌があるんですよ」と見せてくれたバードウォッチャー専門誌『BIRDER』のことを思い出した。
T字路を真上から見たとして、Tの縦棒の下のあたりで山崎さんを待っていると、Tの横棒の道を左から右へ黒いバイクが通り過ぎていった。
あれは間違いなく山崎さんだろうと思ったら数分後に電話が鳴った。
やっぱり山崎さんだった。
思ったほど廃墟じゃないっすね。
とか言いながら撮影を終えた後、すぐ近くにあるという山崎さんのガレージに寄ったのだが、そこがまあとんでもない物件だったので以下次号!(VOL.44)


