大田尻 康男 & Harley-Davidson FX SuperGlide(2010 0914) |
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
映画『トロン』
『スターウォーズ』に出てくる宙に浮くバイク。
★ 2 ★
ある年の北海道。
着いた初日からずっと雨だった。
それでも最北端の宗谷岬を目指して走り続けて4日目。
宗谷岬に着く1時間前あたりから雨が止んで曇りになり、到着する10分前には晴れてきて、着いたらピーカンでロシアまで見えた時。
★ 3 ★
雨の降る寒い中、高速道路を10時間走って「俺は何してんだろ〜?」と考えてしまった時。
★ ★ ★
太田尻さんは彫金アーティスト。
その工房は鎌倉山にある。
「山」が付かない観光エリアには行ったことあるけど山が付く鎌倉は初めてだ。
どんだけ山なんだろう。
なかなかの山だった。
中々乃山(四股名風に表現)
坂道を上り、畑の間を通り抜ける。
田舎者にはたまらない山のニオイ、草のニオイ。
個人的に好きな、木が腐りかけてるみたいなニオイを探したけどしなかった。
でも、秋になればカマキリが来そうなニオイがした。
建物は普通の一軒家。
普段何やってるんだか分からない人が住んでそうな雰囲気だ。
玄関前にはイガ付きの栗がいくつも転がっている。
てことはこのデカいのは栗の木か。
栗の木陰は涼しいを通り越してヒンヤリしていた。
看板的なものがないのでヒッジョーに分かりにくいのだが、太田尻さんの工房はその2階にある。
彫金。
それは読んで字のごとしなんだろうけど、「彫金ってああいうヤツだよね」ってイメージしようとしても、僕には「ああいうヤツ」を見た記憶がない。
どこかで見てるかもなんだけど、そもそも基本的な彫金が分かっていないのだ。
ショーケースに飾られている大田尻さんの作品を見て「あー、こういうヤツか」とようやく僕の中に「彫金」が刻まれた。
作業台の上には大工さんが使うようなデカいのじゃなくて、柄の太さも頭のカタチも違うスリムな金槌が何本も何本も並んでいる。
でもって「これで彫るんだね」って感じで先がとがった、でもって頭のカタチが違う鉄製の鋼(ハガネ)という道具が、お茶とかホールトマトとかの空缶に何本も何本も立てられている。
ペンチも40本くらいあるし、何に使うか分かんないけどやっぱりいろんなサイズが揃った鉄製のリング状のものもぶら下がっている。
職人の道具たち。
そのひとつ一つに理由がある。
ひとつ一つに、ソイツにしかできない仕事がある。
だから、大きかろうが小さかろうが太かろうが細かろうが、道具たちはみんな堂々としている。
この道具たちがどんな風に使われて作品ができるのだろう。
うーん、見たい〜。
と、玄関先に落ちている栗のように甘えたところ、「いっすよ」と大田尻さんが彫金ライヴを見せてくれた。
下描きされたデザインが、銅板に彫られていく。
カンコン。
カンコココン。
ミーンミーン(鎌倉山のセミ)
ボタッ(木から栗が落ちた音)
たぶん一打一打で、力の入れ方とかハガネの角度とか動かし方とかがウルトラ微妙に違うんだ。
これが師匠と過ごした日々で「手につけた」職人技か。
最前列で、1人で観ちゃった。
相当にゼイタクなライヴだったぜ。
このまま『必殺仕事人』(役名:彫金のジリ)に出られそうな大田尻さんの彫金必殺仕事ぶりはブログで見られますんで是非どうぞ!
http://jirisilver.exblog.jp/