マンガ『君はバイクに乗るだろう #5』by 大森 しんや |





当たり付きバーアイスの先っちょに残った最後の冷たいふくらみを舐め落とす瞬間、少年は性に目覚めると言われている。
わきゃない。
当たり付きバーアイスと言えば3色トリノだ。
チョコ、バニラ、ストロベリー。
ちびっ子が好きな味ベスト3を手っ取り早く1本30円で味わえた昭和の名作アイスである。
粉っぽさ。
チョコ以外の味の主張のなさ。
そしてなにより高設定。
やたら当たった気がする。
3本立て続けに食べたこともある。
当たりのバーだけ持って帰って別な日にお店で交換して……なんてアタマが全然なかったのだ。
アイスは買って帰って食べるものではなく、買うなり袋をひんむいて食べるものだった。
アイスに限らずなんでもだけど、僕は昔から食べるのが遅かったのでよくアイスの先っちょを落としていた。
ぼた。
あの絶望感。
びちゃ。
あの「返せ!」感(誰に対してかは不明)
当たり付きバーアイスの先っちょに残った最後の冷たいふくらみを舐め落とそうって時にアイスが溶けて地面に落ちて絶命した瞬間、少年は命の大切さを知ると言われている。
かもね。





