「ショップを立ち上げる」とは何か? |

それは「紅白歌合戦の審査委員になる」「横綱審議委員になる」「クルーザーの上で全裸になって夕陽を浴びながら乾杯する」といったことと並ぶ、男の夢である(個人差あり)
「自分の店を出したいんです!」
去年の10月、神 知博君とGT750を撮った後(VOL.11を見てね)に聞いた話。
そこから半年ちょいで、ジン君はホントにお店を出してしまった。
前に勤めていた会社を辞めて、激しくバイトしたり40度の熱を出したり、突然ガンマを買ったりツーリング行ったりしつつ、スゴいイキオイで突っ走った模様である。
その突っ走りぶりはどんなものなのか。
ジン君のお店『雷神製作所』の査察がてら話を聞きに八王子に向かった。
橋本って駅で降ろされた。
え? これって八王子まで行かないの?
行けよ。
行けーーっ!(稔侍調)
つー感じでの初めて降りた小雨の八王子(初王子)
うすら寒い。
確実に着てくる服を間違えた。
地元の中学生ばりに薄着で来てしまった。
早いとこジン君のお店に避難しよう。





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★バイク屋さん……じゃ、ないんだよね?
配達の人には間違えられますけどね(笑)
★階段降りてここまで来ても何してるトコなのかイマイチよく分かんないんだけど、雷神製作所は何を製作するところなんでしょう?
カスタムシートの製作。
メットの内装のリペア。
洋服や革ジャンのカスタムもやります。
雷神ブランドオリジナルの洋服も作りたいですね。
基本、僕が自分で出来ることは何でもやりますよ。
「バイクに関わっているもの全般」って感じで。
★入り口の壁とかドアに業務内容が箇条書きされててもよさそうなもんだけど、全部ひっくるめての「モーターサイクルジャンキー」なわけだ。
最初は「モーターサイクル」だけだったんですけどね。
★業務内容もジャンキーになってるトコが素晴らしい(笑)でも完全にバイクが軸になってるよね。「こういうお店を出したいな」っていうのは昔から考えてたの?
GT750に乗って、自分でイジるようになってからですね。
洋服にしても遊びにしても「一生これだな」って思うようになった。
イジってても乗ってても楽しいし、乗ってない時に洋服のこと考えるのも楽しい。
バイクの話から音楽の話になったり、音楽からバイクの話になることもあるし。
★GT750に乗る前は?
883に乗ってましたよ。
洋服が好きだったんで原宿のセレクトショップに4年いて、そこから古着屋さんに移ったあたり……27、28歳くらいかな。
でも、古着屋で働いているうちに見た目だけの世界が嫌になってきて……。
★それはどんな世界?
バイクに乗りそうなカッコしてんだけど乗らない。
すげー音楽聴いてそうなんだけど聴いてない。
工具すげー持ってんのにバイクいじれない。
すげーオーディオ買ってんのに実はよく分かってない。
モノは分かってても作り方は知らないとか、何が凄いか実際に分かってないとか。
見栄の張り合いの世界ですよ。
★「なんだコイツ?」みたいな。
たくさん見てきましたね。
それは専門学校の時からあったなあ。
洋服も、憧れだけで着てる人って1、2年で飽きちゃうんですよ。
疲れちゃって。
気合いがなくなって。



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★古着屋さんを辞めてからは?
バイクの業界に入ったことがなかったんで上野のショップに入りました。
そこで知り合った人に前の会社を紹介してもらったんです。
★クルマのシートを作ってたんだよね?
クルマの内装の試作ですね。
革モノが作りたかったし、ミシンもそこそこ使えるんで、最初から将来独立する方向で入りました。
★そこで技を磨いたわけだ。「独立してやっていける」って自信が持てたのはいつくらいでしょう?
去年の春に上海でモーターショーがありまして、そこに出展するクルマのシートとリアのダッシュボートとかの貼り物を作りに、中国の工場に行ったんです。
2人で行ったんですけど途中から1人きりで作らなくちゃいけなくなって、最後は3日間、1人で工場こもりっぱなしで完成させました。
何回も何回もNG喰らうし、説明しても言葉が通じない。
でも「自分1人でも頑張れるかな」って感触がありましたね。
★そこから独立の炎が燃え上がったと。きっと時期的に今だったんだろうね。
かもしれないですね。
動き出したら、上っ面じゃない、リアルな人達が周りに増えていった気もします。
中身から出てる人って何着ててもカッコ良く見えるんですよ。
★そういえばトビラの表側に「MOTORCYCLE LICENSE ONLY」ってあるけど、雷神製作所は「免許がないヤツお断り」主義なんでしょうか?
そうです。
今、英語と日本語で書いてもらってるとこですよ。
洋服屋にしてもバイク屋にしても、有名になると規制が掛かるところがあるじゃないですか。
ウチは全然有名じゃないけど今のウチから(笑)
結局バイク屋って、バイクの免許持ってるか、免許取る意志があるヤツしか入らないじゃないですか。
洋服屋は買う気がなくても入ってきて、見るだけ見たら出て行っちゃう。
そんなの面倒くさいと思ったんです。
だったらハッキリしてるほうがイイんじゃないかと。
昔は入りにくいお店が結構あったんですよね。
だから、わざと入りにくくするのもイイんじゃないかなと。
★逆に温かい気もする。初めて来る人とでも距離感を約束しているというか。
入ってきた時点でバイクっていう共通点があるんで、イキナリ会話できるじゃないですか。
シート作りにしても革ジャンのカスタムにしても、まずは2人で話さないと何も見えてこないし。
今はなんでもネットで買えちゃったりするけど、わざわざ来てもらったり、話をしたりする意味はあると思いますね。
★階段降りて地下ってのがまた絶妙だよね。ほどよい緊張感があるというかタメのあるドキドキというか。
今度、そこに鉄格子入れる予定です。
★て……鉄格子? 入りにくさを極めたいのか?(笑)
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どうだろう。
「バイクの免許持ってない人、お断り」
このコンセプトには、友達や奥さんから「正気か!?」的なリアクションもあったそうだが、まったく譲らず貫き通したジン君のブレなさ加減はそーとーなもんであり頼もしい限りなのである。
ということで最後に、「雷神製作所、行ったろか」というアナタにひとつだけ忠告しておきましょう。
家を出る時は平気でも八王子は思った以上に寒いことがある。
スタジオの柱谷さん、以上です。

HPは現在製作中とのことなので、ジン君のブログをご紹介しときヤ〜ス。
http://ameblo.jp/kaminarimc/


