寺嶋 武志 & TRIUMPH TR6SS TROPHY(2010 0331) |


Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?

特に影響を受けたものはないのですが、気付いたらオートバイに乗っていました。
強いてあげれば高校生の時に観た『イージーライダー』のせいか、「いつかはハーレーに乗るんだ!」と若かりし日は思っていました。
★ 2 ★
初めてのトラで、納車後すぐに千葉の犬吠岬までひとり遠乗り。
帰りの銚子有料道路。
他に1台もいない緩やかな起伏のある道に、聞こえるのは風を切る音と排気音。
左手に垣間見える海を見ながら、たぶん何か叫んでいました。
帰っても興奮は収まらず、バイク置き場でしばらくトラを見つめていました。
★ 3 ★
箱根の帰り、西湘バイパスでパンク。
やべ〜、チューブもタイヤレバーも今日は持ってきてねーし。
伊豆ツーリングの帰り道。
クラッチワイヤーがエキパイで焼き付いていたのに気付かず爆走→クラッチ板がボロボロに→上り坂登れません→箱根峠を無理矢理なんとか越えて東京まで8時間……疲れた。
でも、トラでのツーリングはやめられません!
★ ★ ★
初めてのトラで初めての遠乗り。
買っちまった。
走っちまった。
そして無事に帰ってきた。
冷めやらぬ興奮。
さっきまで獰猛に暴れていたエンジンがチンチン言ってる。
俺もまだドキドキしてる。
主演はいつかの寺嶋さん & 初代トラ(TRIUMPH TR6 TROPHY……写真はTR6SS TROPHY。どこが違うの? って俺に聞くのは野暮ってもんだぜ)
こーゆーのこーゆーの!
こーゆードキドキが欲しいんだ!
バイクでドキドキするのはたまらない。
ドキドキにも各種あるけどね。
僕も限定解除したての頃、毎回乗る前はドキドキだった。
誰も見てないのに緊張した。
いや、バイクに見られてるから緊張したのかもしれない。
バイクに「お前ヘタだな」とか「よく限定解除できたな」とか言われるかもしれないという自信のなさも込みのドキドキだったけど、いいドキドキだった。
前に勤めていた会社に、6発のCBXに乗る先輩がいた。
ある夜、いや6時から7時の間くらい。
梅雨の終わり。
外はまだ真っ暗じゃなくて紺色な感じ。
「お先です」
仕事を終え、メットを抱えた先輩は「CBX! CBX!」と1人でCBXコールをしながらドアを開けて出て行った。
臨界点を超えたドキドキが、声になって噴出してるみたいだった。
その姿がチョー楽しそうだったので、いつかは僕も、乗る前に自分のバイクの名前をコールしたいと思った。
でも、コールしにくい車名ってあるよね。
つか、自分のバイクの名前を自分でコールしながらバイクに向かって歩くって、すげー盛り上がっていいよ。
たぶんバイクも盛り上がると思う。
10代からバイクに乗り始めた寺嶋さん。
バイク歴にはビラーゴ、SRと若かりしブーマー的なところを経て、CL72、CB92といった甘く危険なヴィンテージの香りが漂ってくる。
なんせ古着屋さんの店長をしていたくらいの人なので、ゆくゆくは辿り着くべきところだったのだろう。
巨大マンションの駐車場の一角。
そこに寺嶋さんのガレージがある。
ガレージというか、そこはチャリンコ数台が入っているコンテナタイプの駐輪場なのだが、バイク2台分のスペースを確保して棚を設置。タイヤやオイルやちょっとした工具が置いてあるので、パッと見、寺嶋さんの専用ガレージであり、でもなぜママチャリを4台も5台も持ってるんだろうこの人は? という気にもさせる空間だ。
「トラって1台1台違うんですよ」
同じ年式の同じエンジン。
その掛け方ひとつにしても、その人のクセが宿っているのだという。
ある意味素直で、ある意味頑固。
バイクが勝手に行っちゃわないし、人間だけ先に行っちゃうこともない。
そんなトライアンフに、寺嶋さんは今もドキドキしてるんだ。


