関根 光柔 & TRIUMPH THUNDERBIRD(2010 0108) |
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
中学生の時、従兄の兄ちゃんがバイクに乗ってたこと。
マンガ『バイクメ〜ン』『特攻の拓』
★ 2 ★
イギリスに住んでいた時に行った、人生初のツーリング。
このトラでマン島に行きました。
そして、このバイクのおかげでたくさんの人に会えたことですね。
★ 3 ★
真夜中にエンジンかけようとしてアクセル回したらワイヤーが切れてた時の、アクセルが「クルン」って回る感触。
走ってる最中にシートを固定してあるボルトがすべて抜け落ちてカーブにさしかかった時、シートが外れて落ちそうになったこと。
奥多摩ツーリングでみんなと待ち合わせしてた場所に向かう途中で着電気系がショート。結局みんなを巻き込んでしまい、ツーリングが中止になったこと。
走ってる最中にプラグコードが溶けて片肺になって単気筒の音に変わった瞬間。
★ ★ ★
ブロン、ブロン。
いい音するねえ。
サンダーバードが颯爽と現れる。
はずだった。
「ボディが劣化してるみたいで、キャブからガソリンが漏れてくるんです」
テルちゃんは音もなく現れた。
でも、その押す姿が妙に板についている。
きっと本国でも、幾度となく押してきたに違いない。
イギリスの物が好き。働いてみたい。
いいところもダメなところも見てみたい。
憧れのイギリスに渡ったテルちゃんは、現地でこのトラを買った。
そして『LONSDALE』で働いた。
イギリスで買ったイギリスのバイクでイギリスのお店に通勤する。
ほぼ満点じゃないだろうか。
失敗も嫌なこともあっただろうから「ほぼ」にしたけど85点くらいじゃないだろうか。←点数下がった気が。
愛と青春のイギリス1人暮らし。
やがて20代の青い挑戦を終え、イギリスに別れを告げる日がやってきた。
あばよ、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国。
世話ンなったな。
オイちゃん、オバちゃん、達者でな。
ミツオ、しっかり勉強していい大学入るんだぞ。
空港のロビー。
思い出が浮かんでは消えていく。
出会った人々の顔。
感じた異国の風。
期待と不安。
1人で降り立ったあの日。
でも、帰りは1人じゃない。
トラと一緒だ。
テルちゃんは、トラと一緒に帰ってきたのである。
外国で乗っていたバイクをそのまま日本に持ち帰る。
人間は逆輸入、バイクは輸出。
ってこれ、手続きやらなにやらを考えると、ついでじゃできない感じだ。
「乗り続けたかっただけッス」でも十分だけど、覚悟がいると思うのだ。
テルちゃんみたいな気持ちで日本に憧れてやって来て、ZやCBを乗り回して祖国に持ち帰る……そんな外国人はどんだけいるのかなあ、と思うと、なかなかプレミアムな逆輸入野郎なのである。
「僕のこと覚えてます?」
テルちゃんとは、再会だった。
と言っても5、6年前。
知り合いのカメラマンが代官山で行った写真展で1回会ったきりである。
その夜は、名刺を渡し、「ほえ〜、バイク乗ってんだ〜」とかなんとか調子こいた立ち話をして別れたような気がする。
「気がする」というのは当然のごとくはしゃぎすぎて酔っぱらっていたので記憶があいまいだからなのだが、それ以来。
再会の場所は原宿だった。
去年末、URAL 小松さん(VOL.17に登場)が展示会をやるというのでGT750 神君(VOL.11に出演)と遊びに行った帰り、「エディーさん(VOL.15に見参)いるかなあ」つって原宿のAttractionsに顔を出したら、なぜか翌日東京ドームでライヴをやる外人バンドのメンバーが2人いて、そこで通訳的に立ち回っていたのが、たまたまお客として来ていたテルちゃんだったのである。
「テルです! 僕のこと覚えてます?」
見事に覚えていなかった。
「代官山の写真展で1回お会いして……」
あ、あああーーーッ! 思い出した。
「写真展の後、携帯から1度メールもらったよね。でも名前に見覚えなくてさ、一応あいまいに返事したはいいけど、誰だっけ? どんな顔だっけ? って感じだったんだよ……」と白状しようと思ったけど省略して、「久しぶり〜! なに? トラ? 撮る撮る撮らせて」なんて言っちゃう僕なのでした。サーセン。
逆輸入人生の第一人者、テルちゃんは『WesT EnD』というブランドをやっとりま〜す。
http://thewestend.exblog.jp/