石井 謙成 & TRIUMPH T100(2010 0117) |


Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?

★ 1 ★
地元の中学の先輩。
高校時代の先輩達と友人達
★ 2 ★
この撮影依頼が来たこと。
★ 3 ★
女の子に見とれてクルマに突っ込んだこと。
★ ★ ★
美味そうだ。
なんだか美味そうだ、石井君は。
なんだか美味そうなものを作ってくれそうな感じだ、ポトフ的なものとか。
とにかくエプロンをして欲しい。
そんなことを本人に言ってみると、「よく言われます」であり、実際、以前はケーキ職人、今は洋食屋さんのウエイターと食にまつわりまくっているのであった。
石井君が笑顔でポトフ的なものをを運んでくる。
自分のテーブルに石井君が来ただけで、「大丈夫だ」って気になりそうだ。
きっと「ご注文のほうを繰り返させていただきます」「繰り返さなくてもいいよ」的な展開もないだろう。
なんせ1939年製のトライアンフに乗ってんだから!
今のを「強引な展開」といいます。以後よろしく。
石井君は今、3台のトラを持っている。
通勤したり、地元群馬に帰ったり、「6台エントリーして完走4台、安全運転で走ってれば入賞」みたいなレースに出たり、でも1台は不動だったり……と、トラまみれの生活をしているのだが、最初にトラと出会った時はSRに乗っていた。
トラっぽくいじったSR。
意識はあった。
でも、実際に見たことはなかった。
ある時、今よりちょっと or かなりスリムだった石井君は、友達を乗せて山手通りを流していた。
スリ抜けしていくと、目の前に閃光が走った。
心のファンファーレが鳴った。
心のサンバチームが狂ったように踊り始めた。
「本物だ!」
生まれて初めて見る本物のトライアンフがそこにいた。
「追いかけろ!」
心の交通機動隊隊長が追尾指令を出す。
追走し、そして信号で止まるたびに声をかける石井君。
ヒゲを生やした2ケツの野郎がピッタリ後ろに張り付いて、赤信号のたびに話しかけてくる……。
どうなんだこの状況。
それでも、「イケバ」と名乗る本物のトライアンフの男は嫌な顔もせず、言葉を交わしてくれた。
「ありがとう!」
「またね〜」
俺達ここで、これっきり。
バイクだから決まる粋な別れだぜ。
そして時は流れて、ある日のこと。
バイク雑誌の個人売買ページをめくっていた石井君の手が止まった。
「イ……イケバ君!」
なんと、イケバ君がロイヤルエンフィールドを出品していたのである。
ネットオークションなんて全然なかった頃、ほとんどのバイク雑誌には個人売買のコーナーがあった。
そこにはバイクの写真はもちろんのこと、連絡先として住所や電話番号も堂々と掲載されていたのである。
ちなみに「W〒で」つーのは「往復ハガキで連絡ください」だったなあ。
今も生きてるんだろうか「W〒で」って。
つかなんて読むんだろう「W〒」って。
俺は「ダブルて(てがみの「て」)って読んでたんだが。
それはともかく石井君はエンフィールドが欲しいわけじゃなかったのだが、すかさず電話を掛けた。
「あの……山手通りで……」
「あーーっ!」
イケバ君は覚えていた。
いや、2ケツのヒゲヅラ野郎にしつこく追尾されたことがトラウマになっていたのかもしれないトラだけに。
あんま上手くないか。
そして、石井君はイケバ君と再会する。
相変わらずトライアンフに乗っていたイケバ君の周りには、新しい世界が広がっていた。
あの日の山手通りは、時を超え、本物のトライアンフにつながったのである。
