金谷克己& BUELL RS1200 WESTWIND(20090923) |
年式的には、まだそのへんで見掛けてもおかしくない若さだと思うのだが、生まれて初めて見た、このビューエル。
凄いんだ、これ。
何が凄いってこのバイク。
シートカウルが可動式で、90度起こすとタンデム用の背もたれになるのだ。
でも凄いのはこの機構ではない。
その起こした時の姿である。
「有り得ないでしょ、これ」
ツミさんが笑いながら見せてくれたその姿はズバリ言って、背もたれによってすべてが台無し……という凄まじい破壊力なのだった。
そんな破壊力を真っ正面から受け止めつつ基本的には封印しているフトコロ深いツミさんに、僕から3つの質問で〜す。
Q1:バイクに乗ろうと思ったキッカケっていうか、影響受けたモノを全部おせーて。
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時のこと、おせーて。
Q3:史上最悪の出来事をおせーて。
高校(高専)がバイク自由だったので、バイクで通学していました。
当時は空冷4発が下火になりつつあり、最後にCBX400Fが発売されてレーサーレプリカが出始めた頃。
僕はレーサーレプリカが流行ってくると、それに反発して旧車に興味を持つようになりました。
高校時代、仲の良かった友達が手先が器用なヤツで、農家の軒先や納屋からCBやCLを見つけて来ては見よう見真似でレストアしていました。
サビだらけの鉄クズのようなバイクが分解、塗装されてキレイな状態に蘇っていくのを見ているのは至極の楽しみでしたね。
彼から譲ってもらったCL125が初めての旧車です。
その後、彼は北海道をはじめ全国各地を旅するキャンパーになり、バイクもオフ車になりました。
僕も彼の影響でオフ車に乗った時期もありましたね。
でも、キラキラと輝くバイクに魅力を感じていたので、GBやSRを乗り継いでいきました。
カウルが付いたバイクに憧れたのは、当時の雑誌に載っていたTEAM IKUZAWAの広告でリックマンなどのカフェレーサーを見てから。
アイル島を走っていた70年代のレーサーのスタイルには今でも憧れています。
★ 2 ★
バイクに乗っていると気持ちが良くなって、哲学的なこととか詩的なことが頭に浮かびます。
主に1人で温泉に行く時に乗ることが多いんですが、上り坂をトップギアで力強く上っていくと「サイコーッ」て気分になります。
★ 3 ★
バンバン125のカスタムに乗っていた時の話。
出来上がったばかりのバンバンで50kmほどの距離にある窯元まで取材に行くことになりました。
半分くらい走ったところで、突然のエンスト。
燃料もプラグも問題ないようでしたが、まったくエンジンが掛からない。
周りには何もない農道。
近くの農家で尋ねると、ここから4〜5kmのところにバイク屋があるらしい。
動かないものはしょうがない。
延々バイクを押して、やっとの思いでHONDAの看板が見えるところまでたどり着きました。
しかし、どうも様子がおかしい。
バイク屋らしき場所には青いシートがすっぽり掛けられていて、 あたりは雑然としていました。
近くにいた人に聞くと、何とその日の午前中にバイク屋は火事で全焼。
僕のバイク修理どころではありませんでした。
幸い、火事と聞いてお見舞いに来ていた隣町の自転車屋さんのご好意で無事修理はできました。
★ ★ ★
「彼女が出来たんだ」って言ったり言われたりする時代を過ぎると、「結婚するんだ」ってやたら言われたり、「私たち結婚しました」って年賀状ばっかり届く時期が来て、その後は「子供が出来ました」ラッシュになる。
どのくらいの年齢でそんな時期が訪れるかは個人差があるだろうが、みんな、そんなサイクルの中で生きていると思う。
だから僕は、「彼女が出来たんだ」って言葉を随分聞いていない。
ホントに随分聞いてなかったなあ。
と今思っているのはつい先日、新宿の片隅で「彼女が出来たんだ」って言葉を久しぶりに、それもまったくそんな気配を感じさせない先輩から聞いたからだ。
完全に意表を突かれた。
無闇にうれしくなってホッピーをガンガンおかわりした。
軽く寝過ごして家に帰ってもうれしいままで、ABBAの『ダンシングクイーン』を延々聴きながら祝杯をあげた。
「彼女が出来たんだ」って言葉は、世の中を明るくする。
「バイクの免許を取ったんだ」
いいねえ。
この言葉も、パッと気分が明るくなる。
初めて会った人から聞く、「バイク乗ってます」
これもいい。
僕がツミさんと初めて会ったのは2003年、岩手の小岩井農場で開催された『小岩井ロックフェスティバル』である。
「おー、頑張ったじゃん」といういいメンツが揃ってたのに、ツイてないフェスだった。
強く、冷たい雨が降り続く。
晴れていれば雄大な姿を見せるはずの岩手山は霧の中。
ハイロウズを見終わったら、全員このままバス乗って帰っちゃうんじゃないか?
そんな心配が現実になりそうな状況である。
オマケにバイクで取材で行った僕は前日、あろうことか盛岡市内でクルマと事故ってミラーがもげたりハンドルがナナメったりしていたので「フェスが終わったらあのまま自走で帰るのか……」と思うと、気分はしょげしょげだったのだが飲んでるうちにンなこたァどうでもよくなり、はしゃいでツミさんと記念写真を撮ったり、電撃ネットワークのTシャツを買ったりした。
でもこの日、僕はツミさんとバイクの話をした記憶がない。
そしてそれ以来僕はずっと、ツミさんはバイクには乗っていないと思い込んでいたのである。
このブログを開設した時もツミさんには「こんなこと始めたのでカッコいいバイク乗りがいたら紹介してくださいまし」とメールを送ったのだが、その時点でも、ツミさんは乗ってないよな……と思い込んでいたのである。
そーとー失礼なヤツである、バイク歴27年の先輩に対して。
誠にもってスンマセン!
今回の教訓:「バイク乗ってます」って言葉は、初めて会う人でも、初めて会うわけじゃない人からでも、聞けるとうれしい。
ツミさんは地元・盛岡でエディトリアルのデザインをしながら、杜の都・仙台でセレクトショップもやっとります。
つい先日リニューアルしたばかりのお店の1階は立ち飲みのBARになっているとのことなので、仙台パトロールの際は是非お立ち(飲み)寄りください。
http://delvis-rockers.com/