鈴村修庸 & kawasaki KZ900(20090913) |

「これから野川の銭湯です」
鈴村君からのメールに僕は驚いた。
それは、建築関係の仕事をしている鈴村君の今日の現場が、僕の行きつけの銭湯だったからである。
そんな僕の行きつけの銭湯(正確には銭湯が入っている建物)の改修工事をしてくれた鈴村修庸君に、僕から3つの質問で〜す。
Q1:バイクに乗ろうと思ったキッカケっていうか、影響受けたモノを全部おせーて。
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時のこと、おせーて。
Q3:史上最悪の出来事をおせーて。

マンガが多いですね。
中学や高校の頃、 『特攻の拓』や『カメレオン』とかよく読んでたんですけど、兄が『バイクメ〜ン』持っていて、読んだら英国のバイクやファッションがめちゃくちゃカッコ良く見えて好きになりました。
あと、ピストルズの写真集でシドがCBにノーヘルで乗ってる写真ですね。
★ 2 ★
友達がいろいろ出来たこと。
でも一番はやっぱり乗ってる時。
★ 3 ★
GS400、セロー、T500、XJ750。
過去4回盗難に遭ってます……。
あとはZのコイルが出先でパンクして片肺で走ったこととか、ステッププレートが折れて、山梨からブレーキなしで、エンジンに足載せて帰って来たこととか。
今は対策パーツも入れたし、ステッププレートも溶接モリモリなので安心して乗ってますよ。
旧車は時間とお金が掛かりますが、直しながら乗るのが「自分のバイク」って感じで好きになれますよね。
★ ★ ★
「どっちにしましょう?」
撮影前日、鈴村君が2枚の写真をメールしてくれた。
1枚はZ。
もう1枚は完成したばかりだというGS750だ。
って、車種を教えてもらわないと分からないくらいどちらもまったく原型をとどめていない。
「Zでお願いします」と返事をした。
写真は「メール用に撮った」って感じだったのだが、常に携帯に自分のバイクの写真が入っている人ってどれくらいいるのだろう。
僕の携帯にはバイクの写真が入っていない。
つか携帯で自分のバイクを撮ったことがない。
だから仮に、小西真奈美または黒木メイサに「俺のバイク、宇宙で一番カッコいいよ。見たらひっくり返るよ」つって「えーなになにどんなヤツ? 見して見して」と言われても即座に見せることが出来ない。
携帯のデータフォルダには、海産物、死んだクワガタ、海産物、嫁さんの実家の黒いパグ犬、海産物、選挙で落選する前の佐藤ゆかりとの記念写真といった捨てカットしか入っていない。
これは不利だ。
歯がゆい。
メイサもガッカリ。
これからは、そんな事態に備えて1枚くらいはバイクの写真を入れておこう。
バイクの写真だけで、どんな持ち主なのかを想像するのは楽しい。
きゃっほ〜。ぱぱ〜。まま〜。
家族連れの楽しげな声がこだましている。
やがて紅く、黄色く染まっていく木々に囲まれた日曜日の公園。
永遠に続きそうな午後の平和なひととき。
突然、伊勢丹の裏(急に具体的)に不穏な排気音が響き渡った。
黒くてMADMAXYなZ。
ロン毛。
でもって真ん中エリアを雑に束ねたチョンマゲ。
土ぼこりが染み付いたガッサガサの革ジャン。
よく見ると片っぽだけ眉毛を剃っている。
そそくさ。
「見ちゃいけません」
子供の手を引き、早足で去っていくお父さん&お母さん。
伊勢丹の駐車場の警備員が見て見ぬフリでうつむいた……。
ところが、フラワー。
予想は完全に外れた。
黒いZの持ち主は、サイケな花柄のシャツをヒラヒラさせながら、市松模様のスニーカーで現れた。
これには伊勢丹の駐車場の警備員も意表を突かれたようだった(未確認)。
こだわりのヨーロピアンパーツで固められたZ。
嬉々としてバイクを語る鈴村君だが、笑顔の裏では4回という個人としては記録的な回数のバイク盗難に遭っている。
僕も1度だけバイクを盗まれたことがある。
好きでもなんでもないバイクだった。
いつも乗りながら「早く直ってこないかな、俺のバイク」と思っていた。
つまりバイク屋さんが貸してくれた代車である。
それでも、バイクが消えてなくなっている衝撃映像にへたり込まされた。
心が折れた。
人間、そうそうへなへなになることはないと思うのだがへなへなだった、我ながら見事なへなへなぶりで。
不本意ながら盗難被害のグランドスラムを達成している鈴村君。
4回も盗まれるってだけで普通じゃないのに、腰が砕けそうなショックから4回立ち直り、今も乗り続けるどころかZの他に大小4台のバイクを所有しているんだから、鈴村君のBIKE LOVEは強靭というかもはや獰猛なのであった。
ガオーッ!
