JETT SEIYA & YAMAHA XS250(20090916) |

ほお。
19歳の青春はアツいねえ。
やっぱアレか。
ジャキジャキのロケンローでモッシュ&ダイヴするんか。
と思いきや2夜連チャンで木村カエラ(小動物系)を観に行っていたジェットセイヤ君に、僕から3つの質問でヤ〜ス。
Q1:バイクに乗ろうと思ったキッカケっていうか、影響受けたモノを全部おせーて。
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時のこと、おせーて。
Q3:史上最悪の出来事をおせーて。

やはり父ちゃんの存在が大きいですね〜。
生まれた時から「バイク」「ロックンロール」「バンド」というモノが身の回りにあって、父ちゃんの友達もみんなバイクに乗っていたので、よくツーリングについて行ってました。
他には、忍者戦隊カクレンジャーのサメバイク、キカイダーの前傾姿勢、仮面ライダーのバイク達、ギターウルフ『環七フィーバー』のPV、キャロルの解散ライブ、西部警察の舘ひろし&カタナ、CB750Fでの父ちゃんのウイリー(昔)、BLANKEY JET CITY、MAD3、MADMAXの悪者のバイク達……などなど、思い返すといろいろありますね。
★ 2 ★
キック一発でエンジンが掛かった時!
それと今年のお盆休みに、父、妹、友達と地元をツーリングしたんです。
夏の太陽の下、キレイな海を見ながら峠の風を切り裂いた時……サイコー!! 気持ちE〜ッ!! と心が叫んでました!!!!!
★ 3 ★
小学2年の時、ちびっ子でもバイク(ギアなしポケバイ)に乗れるところで初めてエンジン付きのバイクを体感したんですが、カーブで思いっきりコケて、ハンドル持ちっぱなしだったので膝からかなり出血しました。
小学5年の時、父ちゃんと町内ソフトボールにXLで2人乗りして行って練習した帰り道。
「そろそろ家だな〜」と思いきや……家の前でウイリーしてひっくり返った、というかひっくり返られて巻き添えを食った、という苦い思い出も……。
そういえば教習所で、クランクの鉄のポールに突っ込んでヘッドライトを割ったこともありました。
ヘッドライトのわくのとれかたは……イカシてませんでした。
★ ★ ★
悲しかった。
さっきまでぐっすんぐっすん言っていた。
でも涙が一段落したら、もう、飲むしかない。
セイヤ君と初めて会ったのは、ギターウルフ・ビリーさんのお通夜の晩だった。
お通夜が終わり、精進落としに居酒屋へ移動する。
大座敷を埋め尽くす革ジャンまた革ジャン。
夜なのに異常に高いサングラス率。
いつものウルフの打ち上げ的な雰囲気の中、朝一番の飛行機で長崎からやってきたという4人組と同じテーブルになった。
セイジさんによく似た30代男性(革ジャン)。
高見山によく似た20代男性(革ジャン)。
天津のエロ詩吟じゃないほうによく似た20代男性(革ジャン)。
そして、明らかに酒もタバコも法律で禁じられていそうな少年(革ジャン)。
「明日、高校の入学式なんです」
セイヤ君は、まだ16歳だった。
この夏、セイヤ君から1本のメールが届いた。
バイクの写真が1枚、添付されている。
タンクには「SALINGER」
それは、もう15年以上も前。
BLANKEY JET CITYに、そしてベンジーのサリンジャー号にノックアウトされたセイヤ君のお父ちゃんが作った「長崎のサリンジャー号」だった。
そしてこの9月。
上京して1年半ほど経ったセイヤ君の元に、長崎からサリンジャー号がやってくると聞いた僕は、それがどれほどのサリンジャーぶりなのかを確認するため、納車に立ち会うことにした。
現場は千葉の柏にあるバイクオークション会場の隣である。
「こういう運送料金ってどのくらい掛かるんですかね?」
不安そうに財布の中身を確認するセイヤ君を無視して駐車場に入ると、そこには全国から集められたバイク達が所狭しと、しかし整然と並べられていた。
「すんません! 1万円足りないんで貸してもらえますか?」
といった状況もあるかと思ったがシカトしてトイレに行き、タバコを吸っている間にサクサクと手続きは済んだようである。
喫煙ルームを出ると、青空の下、セイヤ君がエンジンを掛けようとバイクにまたがっていた。
キック一発!
「待ってたぜ、セイヤ!」
「早く俺と走ろうぜ!」
サリンジャー号の声がする。
と、思ったのは気のせいで、エンジンは一発で掛かると見せかけた音を一瞬吐いた後、「なんつって」と言わんばかりに沈黙した。
まあ、いいじゃん。
写真を撮ろう。
フレームの中に、セイヤ君のお父ちゃんの愛が見えた。
よく出来ている。
400ccに換装されたエンジン、延長されたスイングアーム、ファットボブフェンダーにサドルシートにブロックタイヤ、カッティングシートを駆使したステッカーなどなど……よー出来とるがや(ベンジー調)。
ベンジーは、「タンクにSALINGERって描く行為自体がカッコいいと思った」という名言を残しているのだが、タンクのロゴも驚くほど忠実に再現されている。
雑誌の写真をタンクの実物大まで拡大コピーして1文字ずつ切り取り、それを貼り付けて下書きして、「タンクにSALINGERって描く行為自体がカッコいい」と思いながら塗っていく……という地道な手作業によって浮かび上がったSALINGERの文字。
やった!
完成だ!
俺達の国境は地平線だ!
そんなお父ちゃんの苦労を知ってか知らずか、セイヤ君は納車直後の浮かれモードに突入しっぱなしで、ギターウルフ・セイジさんばりのポージングをひたすら繰り広げるのであった。
撮影後、いよいよエンジンを掛ける時がやって来た。
アクセル全開でキックを踏み下ろすセイヤ君。
一発、二発。
蹴る蹴る蹴る。
しかし、エンジンが雄叫びを上げる気配はまったくない。
絶望という名の2気筒。
こんな時はチョークを引いてみては?
「チョークってなんスか?」
お父さん。
この少年にサリンジャーを託して大丈夫なんでしょうか……。

