無免許バイクインプレ HONDA CB750 by 北野富士男 |

それがまた新鮮でいい。
ということで、『無免許インプレ特集』を企画してみました。
思わず乗ってMOTOR。
乗ったら驚いた。
今ならなんてことないことに尋常じゃない感動を覚えた。
あの風はなんだったのか?
といった感じでもって、思い出の無免許マシン、そしてそのインプレッションを関係各方面に語ってもらいヤ〜ス。
★ ★ ★
無免許っつーか、バイクとのファーストコンタクトっつーか、北関東出身者の相場はカブって決まってるでしょー。
カマやクワ、もしくは耕運機や軽トラのように、たとえ農家でなくともなぜか実家に備わっているイナカのギア。
そのひとつにカブがあったはず。
爺さんが草刈ガマを荷台に刺してテリトリーを巡回することは日常だけど、さらなる猛者は孫娘の中学校指定チャリンコの荷台から拝借したφ3mm位のゴムバンドでエンジン付きの草刈機をかろうじて荷台にくくりつけ、フラフラと国道を走っていたりするから恐ろしい。
しかもこの爺さん、無免許ってことも十分有り得るモノノフである。
こんな爺さんにとっては「農協」印がオデコにある紺色の帽子はスネル規格。
それと同様、北関東方面では茨城県の龍ヶ崎辺り以北を境に、大抵13歳ぐらいからカブに乗り始めるもの。
よってあまり無免許って意識すらない。
「そうだね、カブだね、俺も13歳ぐらいだったね」
と思った諸君の同調を裏切って、マイ・ファースト無免許マシンはシャリイだ。
丸ライトの旧いヤツ。
水色だったな。
シート下に乗り方を説明する冊子が入っていたもので、読んでみたらえらくカンタンそう。
そうか、こんな感じか、と何気なく乗ったら普通に乗れた。
何の感動もないデビュー。
その後は回覧板を持っていくのに乗ったり、妹を小学校の帰りに迎えに行ったり(当然2ケツ)とシャリイは活躍。
だけど感動なんてものは全然なくて、チャリンコの延長だったなぁ。
ヤバいと思ったマシンは最近まで売られてたCB750。
大学生になって東京へ出て、いつの間にか持ってたチューメンで250ばかり乗ってた時代。
1コ上にモリンダって先輩がいた。
みんなが250ばかり乗ってた時に、金にモノ言わせてVFR400を買ったりする嫌なヤツ。
その時点でチッキショーと思ったもんだけど、そこは男たるもの虚勢を張らなきゃいけない。
悔しい顔一つせずに「ちょっと貸してみ」とそのVFRを借りて、初めて180キロのメーターを振り切る体験をした。ありがとうモリンダ。
そのモリンダがCB750を買った。
バイクってのは400ccが最上級だと思っていた俺をせせら笑うように、教習所で大型が取れるようになった瞬間に大型免許を「買った」アイツ。
憎い。
そこに重ねてCB750。
素人からしても名前の響きがいいマシンを買いやがる。
「ふーん、イマドキ空冷ね」とか「なんでナナハン、もっとデカクすりゃあいいのに」なんて毒づきながらも正直ウラヤマシイ。
そんな矢先に仲間がホンダのジェイドを買ったんだけど、これに試乗したモリンダが「トルクが薄いね。オモチャみたい」なんて言うじゃないか。
コイツめ!
金持ってるだけの直線番長が!
じゃあちょっとオメのナナハンとやら貸してみ!
たかが70馬力チョボチョボのクセに!
で、乗ってみたら、速ェ……。
ナナハン、速ェ!
ごめんなさいジェイド。
なんだよこの図太い低回転、そして伸びきり感。
モリワキのマフラーが付いてたから余計だったね、感動が。
「カポーー!」っとフケていくじゃない。
ヤバイ、ヤバ過ぎるよ。
「ちょっと貸してみ」が「ちょっと」ではなくなった。
笑いが止まらん。
速度差がありすぎて幹線道路の車が止まってるぞ。
30メーター幅の道路がパイロンスラロームだ。
無敵。最強。感動。
ほぼ感涙。
モリンダが待つ学校の駐車場に戻る直前、これらの表情をすべて顔から拭い去り、「ふーん、マーマーいいじゃんか」と涼しくナナハンを返却した。
直後、府中の試験場に大型二輪を取りに行くが4回落ちて挫折する。
金持にはカナワン……とかみ締めた21歳の夏。
そして、いまだにCBナナハンに憧れる。
★ ★ ★
去年、実家の雑草があまりにも敵意ムキ出しな感じで生えてくるのでエンジン付きの草刈機を買ったのだが、両手でハンドルを握るポジションといい、ちっちゃいレバーで円盤型の刃を加減速するアクセルワークといい、腰で使いこなす感覚といい、非常にバイクに近いものを感じた。
高校の先生をしている幼なじみに聞いたところ、毎日校庭の草刈りをしている用務員さんは、腰痛持ちになってしまうそうだ。このへんもバイクっぽい。
悲しくも免許が無くなった人、またはまだ免許が取れない年齢の少年少女よ。
君達には草刈機がある!
新車で2、3万。
夏なら1時間くらい草刈っただけで気持ちいい汗がかけて、往復100kmくらいのショートツーリングに行った時と同じくらいの疲労感も味わえる。
ただ結構場所取るのよね、長いから。


