中村直城 & YAMAHA TX650(20090705) |

Q1:バイクに乗ろうと思ったキッカケっていうか、影響受けたモノを全部おせーて。
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時のこと、おせーて。
Q3:史上最悪の出来事をおせーて。

小さい頃に行ったサーカスでドギモ抜かれました。
10メートルくらいの網目状の鉄球。
その中を縦横無尽に走るバイク!
耳は両手でオモッキリふさいでましたけど、それでも手と耳のわずかに空いた隙間をこじ開けて耳の奥へとねじ込んでくる爆音!
あの時の衝撃は今でも覚えてます。
それが、バイクに乗ってる人を見て初めて「カッコいい!」って思った瞬間です。
乗り始めの頃は、先輩とか暴走族の友達に影響受けました。
初めてバイクの乗り方を教わったのも暴走族の友達です。
普段は不良だった友達も、その時だけはマジメに教えてくれました。
族車で並走しながら叫ばれましたね。
「アクセル戻すの遅い!」だの「エンジンの音聞け!」だの。
その横をモヒカン頭でボロボロのアメリカンに乗った先輩が、猛スピードでパトカーと一緒に走り去っていく。
そんな状況でバイクの乗り方を覚えました。
一番大きいのは、東京に来てから出会った友達。
そこから受けたバイクの影響は自分の中で相当です。
その友達に会ってなかったら東京では乗ってないってくらい。
みんなイカレてますけどね。
上京した頃、好きでよく行ってた服屋があるんです。
お店の前には店長さんが乗ってるカスタムしたGPZがあった。
はじめの頃は勝手なイメージで、「ココの店長はハーレーだ。今は修理してて、これはきっと代車だ」と決めつけてました。
それくらい無知でした。
でも、後にそういう古めのバイクの良さを感じられるようになったのもこっちで出会えた人間からなんで、すべてに感謝ですね。
★ 2 ★
バイクに乗ってる時に感じるいろいろなことが、全部ひっくるめて「バキッ!」と1つになった時のあの感じ……言葉で伝えるのは難しいです。
★ 3 ★
細い道の渋滞を抜けて広い道路に出た瞬間、アクセルを開けて勢いよく飛び出したら、急にいい音に変わったんです。
下を見たら、片方だけ腹下からマフラーがなくなっていた。
走ってる最中に、片方のキャブレターがごっそり取れてガソリンがダダ漏れになったこともあります。
走行中、いきなりエンジンが止まったことも一度や二度じゃありません。
振動で配線が切れたり球が割れたり、テールランプは何回直したことか……。
全部TXでの出来事です。
おかげで少々のトラブルには対処できるようになりました。
周りの人に助けられて、ですけどね。
これも感謝です。
★ ★ ★
サーカスのアクロバットライダー。
アクセルのメリハリを的確に指摘する教習所の教官ばりな暴走族の友達。
カスタムGPZに乗るイカレた店長。
中村君の前に現れた爆音の使者達。
好きな爆音、嫌いな爆音。
カッコいい爆音、カッコ悪い爆音。
人を幸せにする爆音、人を不幸にする爆音。
爆音にもいろいろあるけど、中村君が聞いたのは「君はバイクに乗るだろう」という妖精の声だったかもしれない。
爆音の妖精。
君はどんな顔をしているの?
それはたぶん、音の種類による。
フィギュアスケート女子みたいなカッコでもって黒木メイサ似。
完璧だ。
チアリーダーみたいなカッコでもって相武紗季似。
満点だ。
株式会社カイゲンのキャラクター「風神Jr.」似。
携帯にぶら下げたい。
爆音妖精の世界は結構広い。
妖精に魅入られた中村君だったが、自身3台目のバイクとなるTX650は買うなり壊れまくりで、泣きたくなるような日々を過ごしていた。
そんなとき知ったのが、YAMAHAのXS専門店という妖精のようなショップの存在だった。
お店に通いながら、数々のすったもんだを経て少しずつメカを勉強していく。
ひとつ壊れて、ひとつ知る。
四文字熟語風に書くと「一壊一知」
タワレコ風に言うと「NO TROUBLE,NO BIKE LIFE」
故障は祝福も歓迎もされない。
でも、修理中で乗れない時間が長ければ長いほど、直って乗り出す時の喜びが大きかったりもするのである。
待たせやがってこの野郎、つんつん(ヒジで)、みたいな。
やっぱりオマエはサイコーだぜ、なんて惚れ直したり。
縮む距離感。
深まる愛。
まあ、壊れないに越したこたァないけどね。
