『バリバリ伝説』完読耐久 |
バイクに乗るにあたり、影響を受けたモノをおせーて。
という質問に対して『バリバリ伝説』を挙げる人は多い。
その全盛期、CBRやFZRに乗っている友達のアパートに行くと、緑とかオレンジとか、今思うと「それはない」って感じの色をしたカラーボックスが置いてあり、そこには必ずバリ伝の単行本が並んでいたものである。
でも僕は完全にスルーだった。
ツナギ着たオニイちゃんの表紙を見るだけで、興味ねー、って感じだったのだが、ふと、今さら一気に読んでみようと思い、先日、やはりバリ伝に影響を受けたというgalciaの坂本さん(VOL.5に登場)に相談してみたところ、「全部で30巻くらいじゃない? 後半はレースばっかでセリフも少ないよ」とアドバイスをもらったので勇気100倍。
生まれて初めてマンガ喫茶に行ってみた。
★ ★ ★
フリードリンク。
それは分かる。
それはいいとして、その「フリーゆでたまご お1人様2個まで」ってのはどういう風の吹き回しであろうか。
「禁煙の個室は1室しか空いていません」
なかなかの繁盛ぶりである、まっ昼間なのに。
荷物を置いて、本棚へ向かう。
まず10巻までいってみよう。
こうして「読むぞーっ!」ってマンガを読むのは『コジコジ』(さくらももこ)以来だから、7年ぶりくらいだ。
リクライニングのソファーに座る。
スニーカーを脱ぎ、足置きに足を投げ出し、ウルトラリラックスしながら読み始めると、ちっちぇーアリが左腕に登ってきた。
右手の人差し指で弾き飛ばして読み進める。
主人公はCB750Fに乗った高校生、巨摩郡。
山梨県の山奥のぶどうの名産地みたいな名前である。
そして1コ下の女子高生、歩惟(あい……って読むんだよ、と説明しないとなんて読むのか分からない、という点で今っぽい名前)や同級生男子&女子、バイク屋のオヤジさん、カタナに乗った転校生……そんなメンツでドラマが展開する。
「ぶあいく」(バイク)
「ぶあかーっ」(馬鹿)
「とあだあーい、ま」(ただいま)
といった表現にとてつもない違和感を感じていると、またちっちぇーアリが……。
加えてなんだ? このGパンの中の左足太もも裏に走るチクチク感は。
この部屋はアリの巣か。
そう思うと汗なんか1ccもかいてないのに速攻帰ってシャワーが浴びたくなったので8巻で撤収。
各巻のラップタイムは下記です。
① 25分 アリ×1(左腕)
② 18分
③ 23分
④ 21分
⑤ 20分 ホロリ×1
⑥ 16分
⑦ 16分 アリ×2(左腕/左足)
⑧ 16分 アリ×1(右首筋)
★ ★ ★
今日で決めてやるぜ!(つってもマンガ読むだけ)
そう意気込んで臨んだ翌日は5時間コースでアタック。
実は、第5巻あたりから急激に面白くなってきてしまっていた。
これはいわゆる「ハマっている」のでは?
とにかく圧倒的に歩惟がいい。
陸上部に2人いる女子マネージャーの可愛くてちっちゃいほう、みたいな。
身長150cmあるかないか的な。
このサイズにはこの顔が乗っかってて欲しいみたいな。
小悪魔系の対極。
まさに昭和の妖精系。
実写版だったら薬師丸ひろ子だな。
いかんせん古い。
せめて掘北真希ぐらい言え。
各巻のラップタイムは下記です。
⑨ 21分 ホロリ×1
⑩ 15分 ホロリ×2
⑪ 14分 ホロリ×2
⑫ 17分
⑬ 17分
⑭ 16分
⑮ 13分
⑯ 16分
⑰ 17分
⑱ 15分 ホロリ×1
気が付くと、インフルエンザでもないのに何度も鼻をすすっていた。
結構な頻度で泣かされているのである。
18巻まで読破し、残りの全巻を本棚から一気にピックアップする。
「19巻から……ここまでか」
一番端っこにある最終巻のナンバーは36。
残り18巻。
郡の進化はとどまることを知らない。
舞台は世界最高峰のバイクレース「WGP」に移っていく。
掘北真希は郡といい仲になり、しまいにゃ婚約し、郡と一緒に世界中のサーキットを転戦する。
急展開! というよりも、ここまでのあらすじをひとことで言えばこうなる。
「超・あれよあれよ」
移動用モーターハウスの中で向かい合う2人。
レースで痛めた手首の手当をする郡に、「氷もうないからロスマンズのバスからもらってくるね……」なんて、シレっと言う歩惟。
ついさっきまで女子高生だった女の子がロスマンズのバスから氷をもらってきちゃうんだから、あれよあれよ以外の何物でもないのである。
各巻のラップタイムは下記です。
⑲ 17分
⑳ 12分 ホロリ×1
㉑ 13分 ホロリ×1
㉒ 13分
㉓ 12分
㉔ 12分
㉕ 12分
㉖ 13分 ホロリ×1
㉗ 17分
㉘ 14分
㉙ 16分
㉚ 15分
㉛ 14分
㉜ 13分
㉝ 13分
㉞ 13分
㉟ 11分 ホロリ×1
㊱ おかしい……。
35巻でファステストラップを叩き出した僕は、どんどん残りのページ数が減っていく36巻を読みながら、妙な焦燥感に駆られていた。
待てよ待て待て。
この左手でつまんでいる数ページでこのレースが決着するのか?
予感は的中した。
なんと、バリ伝の単行本はあと2巻、つまり全38巻だったのである。
でもこの店は、ポリシーなのか経営方針なのか今月の目標なのかは不明だが、36巻までしか置いていなかったのである。
なんだろう、この誰からも歓迎されないオチは。
もしかしてこの店は、クライマックスの直前まで引っ張りに引っ張っておいてから「なんつって〜、実はあと2巻あるんでした〜」ってシステムを在庫している全作品で採用しているのであろうか。
しかしこれは、物事を輪郭、それも下書きみたいなうっすい輪郭を一瞬見ただけで全部分かったような気になってしまう僕の悪い癖が原因だ。
バカ、バカ! 俺の、ぶわか!
最初から全部で何巻なのか調べとけよ!……と、自分を責めることにより怒りは解消されたが気力は萎え萎えで撤収。
★ ★ ★
翌日、フリーゆでたまごの姉妹店。
今日は僕のバリ伝卒業式だ。
名残惜しさも相まって36巻から読み直す。
㊱ 13分
ああ、終わっていく。
㊲ 20分 ホロリ×3
僕の初めてのバリ伝が、もうすぐ終わる。
㊳ 22分
僕は遂に完走した(マンガ読んだだけ)。
★ ★ ★
<『バリバリ伝説』完読耐久 RESULT>
Time 601min/fastest lap 11min(No.35)/Horori×14
★ ★ ★