人間は真夏に6時間バイクを押すとどうなるのか? |
真夏の炎天下。
最高気温が叩き出されがちな午後2時スタートで動かなくなったバイクをえんえん押し続ける。
これは、出来ればというか永遠に避けたい非常事態なのだが、押すヤツは押すのである(「好きな人は好き」みたいな感じで)。
大切なのは!
いつでも有り得るよ〜、と。
次は僕の番かもしれないね〜、と覚悟しておくことではないだろうか。
ということで、重要参考人(リーゼント)を招致。
真夏にバイクを6時間押した時の心模様を追及してみたので、突如として彗星のごとくバイクが心肺停止後、わ! なんで? なんで動かないの? なんでなんで? 押すしかねーか……ってなった時の参考にしてください。
★ ★ ★
★走りに行く前に、「あれ? なんかオカシイ」って感じはなかったんでしょうか?
アイドリングしない状態でしたね。
信号待ちなんかでもアクセル開けてないとダメな感じで。
キャブのセッティングも出てなかったんですけど、BSA(仮名)が納車したてだったんで乗りたかったんです。
★どのへんで「あれ? なんかオカシイ」ってなったんですか?
甲州街道で渋滞にハマって、エンジンの回転数がかなり上がったんです。
その渋滞がなくなって、クルマも流れ始めた後。
信号待ちの時でした。
★スタート地点はどこですか?
調布と府中の境目あたり。
★ゴールは?
永福町です。
★家までの距離を考えて、「JAF呼ぼう」とか「バイク屋さん呼ぼう」とかは考えなかったんですか?
BSA(仮名)はバイク屋さんというか個人売買みたいなことやってるオジさんから買ったんですけど、俺に納車してすぐ、千葉に夜逃げしちゃったんで、頼める人がいませんでした。
レスキュー的なものを呼ばなかったのは、「1人で乗れるようにならないと!」っていう思いが強かったからだと思います。
今思えば、近くに知り合いの車屋さんもあったので、助けてもらえば良かったなあ……。
★スタート時間は?
昼の2時ぐらいだったと思います。
★押し始めた時はどう思っていましたか? 「楽勝でしょ」とか「まあ、2時間ってとこでしょ」とか?
はじめはオーバーヒート的なものだと思ってたので、少し待てば掛かると思ってました。
★一番最初に「もーイヤだ……」って思うのはどのくらい押した頃でしたか?
1時間ぐらい押してから、「そろそろ大丈夫なんじゃ?」って思ってエンジン掛けてみたら、凄い勢いでケッチンくらった時です。
★何分というか、何kmおきくらいに「もーイヤ!」って気持ちが襲ってくるものなんでしょうか?
前半は30分に1回ぐらいですね。
後半は5メートルおきにイヤんなります。
★押してるうちになんだか気分が楽しくなってくる、「押しハイ」みたいな瞬間はなかったんでしょうか?
まったく無かったです。
★途中でBSA(仮名)を放置して、いったん電車とかで帰って出直そうとは思いませんでしたか?
100万円以上するバイクを買ったのが生まれて初めてだったので、置いてくことはまったく考えませんでした。
★休憩はどのくらいの割合で取りましたか?
前半は30分に1回。
中盤も30分に1回。
後半は10分に1回ぐらいですかね。
★水分はどの程度補給しましたか?
夏だったのでなんだかんだ20本ぐらい飲んだと思います。
★「あー、もうすぐだ!」ってなったのはどのあたりですか?
世田谷入ってからずっと思ってました。
★「あー、もうすぐだ!」ってなった時の気持ちは?
「いける!」と思いました。
★ゴールした時の身体的なダメージは?
足がガクガクでした。
当分バイクに乗りたくなかったです。
★家に辿り着いてバイクを停め、最初にしたことは?
シャワー浴びました。
★完走した満足感で、やっぱりその夜のビールは格別だったりしたんでしょうか?
そうですね。
そうだった気もしますが、すぐ寝た気もします。
★翌日以降に出た身体的なダメージは?
その時以来、腰を痛めました。
腰が痛いとあの日のことを思い出しますね。
★結局故障の原因は何だったんでしょうか?
基本的にはキャブのセッティングでした。
★修理には何週間掛かりましたか?
British Beatさん(実名)に全体的に見てもらうことを決めて、エンジンから全部やってもらったので、1ヶ月ぐらいかかりました。
★修理代はいくらでしたか?
確か20万以上かかった気がします。
★その時、参考人は何歳だったんですか?
26歳です。
★今年の夏、またそういう事態に陥ったら同じように押して帰りますか?
無理ですね。
★ ★ ★
旧いバイク。
どんな故障が待ち受けているか分からない。
旅先や街中でトラブルが起きても、自分で解決していかなきゃ。
この記録は、重要参考人の「1人で乗れるようにならないと!」というバイクへの強靭な愛なくしては生まれなかった。
すべてが美しい。
「そろそろ大丈夫かな?」ってキックして凄いケッチン喰らった瞬間すら美しい。
嗚呼、僕はあの夏の君に声援を送りたかった。
沿道で小旗を振りたかった。
そしてゴール後、一緒に『サライ』を歌いたかった。
ということで、参考人がBSA(仮名)の面倒を見てもらっているBritish BeatさんのHPは下記でーす。
http://www.britishbeat.co.jp/