君はバイクに乗るだろう VOL.2 |
あと1時間したら出発だ。
撮影日は1週間くらい前から決まっていた。
昨日、地図を調べた。
プリントアウトするまでもない分かりやすいところだったので交差点の名前だけメモに書き留める。
昨日、寝る前に何を着ていくかも決めた。
窓枠に掛かってるもう着なくなった革ジャンじゃなくて、友達にもらった古着の革ジャンを着ていくことになった。
気合いを入れるために。
僕の気合いは白バイに捕まらないためと、事故らないために使うことにしている。
集中力がない僕にとって、とても大切なもの、それは気合い。
でも今ちょっと揺らいでいる。
なんだか暑いじゃないか本日は。
大切な気合いが、真夏に食べるガリガリ君ソーダ味が下の角から溶け出して手に垂れてくるような感じで徐々に溶けていきそうな暑さじゃないか。
どうしようかな。
でもやっぱ革ジャンで行こう。
と、正式に決定するまでの心の右往左往、それに伴う朝からのドキドキ。
バイクって、よりによって、というか、いちいち乗るからドキドキするのかな。
そのドキドキするのが、いいじゃん。 (総合司会・坂下浩康)