更新後記 VOL.137 |
とある業務でとあるバイク屋さんに「古物の番号を教えてください」とお願いしたら紙に書いてくれた。
バイク屋さんは左手でペンを持ち、ゆっくりと走らせる。
惚れ惚れするねえ。
左利きの人が字を書いてる姿ってカッコいいなあ。
小学校までさかのぼると、俺はしょっちゅう同級生の字を真似していた。
少し筆文字っぽいY君の書体。
Y君はクラスに置いてあった業務用の鉛筆削りでも携帯用のちっこい鉛筆削りでもなく、カッターで、しかもキレイに鉛筆を削ることが出来た。
俺はその職人的なカッター削りおよびいつも筆箱に5、6本、見事なとんがりぶりの鉛筆達が収まっているビジュアルも好きになってしまったので、鉛筆の寝かし方と持ち方もひっくるめて全部真似した。
Y君は消しゴムのカスを集めて練って丸くして、消しゴムとして再生させるという技も持ってたんだけどそれは貧乏臭くて真似する気にならなかった。
全体的に直線が多くてカクカクしてるK君の書体。
K君はノートのケイ線に定規を合わせ、1文字1文字定規にコツコツ当てて書いていた。
定規でぇ〜っ?
ってのがまず面白くて、ロボットが書いたみたいとか言ってすぐ乗っかった。
K君は自分で考えた宇宙戦艦の絵を描くのも好きだったので俺も真似して描いたりしてた。
やや丸っこくてデカいY君の書体。
Y君はビートルズが好きで英語も得意だったからか、アルファベットがカッコ良かった。
ケイ線をちょっとはみ出す文字サイズも英字に似合ってた。
鉛筆でノートに書いてもチョークで黒板に書いてもマッキーで模造紙に書いても全く文字のフォルムが変わらないのにも憧れた。
っつー感じで小中学校はいつも誰かの書体を真似してフラフラしてたんだけど、あの頃、左利きでカッコいい字を書く同級生がいたら今の俺は左利きだったかもしれないのにな〜。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
誰かの書体ブームは編プロで働き出してから再燃して、親父の字を真似してた時期もありつつ、今は書体っつーより書き方を固定してるんだけど、自分史上一番汚い字なんでまた変わるでしょう。(総合司会・坂下 浩康)
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