君はバイクに乗るだろう VOL.118 |
20年ちょっと前。
取材でちょいちょい千住のバイク屋さんに行っていた。
そのバイク屋さんはサイドカーが得意で、社長は日本サイドカー連盟的な団体のスタッフ的なこともしていて、メカニックの人はサイドカーレースをやっていた。
店内には仕上がったサイドカー、船(側車)、船を外して整備中のバイクが並んでいる。
ただでさえ場所を取るサイドカーは置いてあっても2、3台だったと思う。
お店は驚異的な広さを誇っているわけでもなかったので、在庫車両やニーラー(レース用のサイドカー)を保管するためのガレージを借りていた。
ガレージは八潮にあった。
俺は大学時代の4年間、埼玉の上福岡ってところに住んでいて内装関係のバイトで埼玉県内いろいろ行ったけど、八潮は俺の知らない埼玉だった。
知らない埼玉イコールすっげー遠い。
俺はそう思っていた。
だからお店でひとしきり取材してから「じゃあガレージに移動しましょう」とか言われると、え〜〜〜。って感じだった。千住から八潮までは10キロ30分ってとこなのに。
ガレージはレース用のデッカいカウルやパーツがゴロゴロしていて雑然かつ混沌。
敷地内は雑草生えまくりで砂埃立ちまくり。
そして都内より30%くらい湿度が高い感じだった。
鉄とガソリンと雑草のニオイ。むわ〜んとしてよどんだ空気。爽やかな風が全然吹いてこない。アイスがすぐ溶ける。
俺の中での八潮はそこで時間が止まっている。
でもこないだ20年ちょっとぶりに行ったら八潮感が一気に塗り替えられた。
駅前の開拓されっぷりがスゴい。
ニトリもコジマもマックも回転寿しも入ってますみたいなショッピングモールとかの建物がことごとくメガサイズ。
近いうちに同じようなメガ建物が建ちそうなだだっぴろい工事現場もある。
特盛りな街。
中学生だったら好きかもな。
オッさん的には駅から離れて、昔からやってます的な各種製作所の工場が並んでる首都高沿いの道のほうが楽しかったっす。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
千住のバイク屋さんは『コンビネーションガレージ』っつー名前で、今はもうないけど俺の中では名店中の名店(永遠)です。(総合司会・坂下 浩康)
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