矢吹 ジョー & YAMAHA SR250(2011 1028) |
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
★ 1 ★
『The great biker build off』や『American chopper』等のTV番組や、それらに登場したビルダー達です。
★ 2 ★
長年かけて出来上がったプロジェクトバイクの試運転が一番うれしい瞬間です。
★ 3 ★
特になし。
★ ★ ★
「アメリカから帰って来た友達が横浜でバイク屋やってるんで行ってみてくださいまし」と、KING清水君(http://youwbike.exblog.jp/14288608/)が紹介してくれたのが矢吹君。
アメリカ帰り。
の、チェインソー。
「NHRAのメカニックになりたい!」
矢吹君は夢に向かってアメリカに旅立った。
夢の下地は日本の修理工場で腕を磨いた7年間。
ちょうど独立を考えてたし。
上手い具合に「一緒にアメリカ行かないか?」って誘ってくれる友達もいたし。
って感じでアメリカに渡った矢吹君はクルマの修理工場で働き出した。
でも言葉が分からない。
だから仲間も出来ない。
クルマをイジらせてももらえない。
ガレージの掃除。
仕事はそれだけだった。
孤独な時間が過ぎていく。
何しに来たんだ俺はと。
掃除夫じゃねえんだよ俺はと。
と、ここで腐って投げ出して帰国してもアメリカ帰りはアメリカ帰りなんだけど矢吹君は踏ん張った。
「徹底的に掃除してやる!」
ラッキーなことに、整理整頓に無頓着なスタッフが揃っていたのでガレージ内は散らかりまくっていた。
いつの間にか片付いていく作業ピット。
スタッフ一同、気分が悪いわけがない。
「お前が来たら工場がキレイになったな!」
ある時、1人のメカニックが声を掛けてきた。
「俺の仕事を手伝えよ」
後に矢吹君のパートナーになるジョンだった。
掃除を始めて3ヶ月が経っていた。
もともと腕はある。
言葉は通じなくても、作業するジョンのかたわらに立ち、工程を目で追いながら、次々と、そして的確に必要な工具を渡していく。
「なんで俺の心が分かるんだ?」
矢吹君の助手っぷりはジョンを驚かせた。
「独立してショップを始めるんだ。手伝ってくれないか? NHRAにも紹介してやるから」
こうして矢吹君はジョンが立ち上げたショップの一員となったわけだが、NHRAへの道のりは遠かった。
しかもジョンは適当だった。
見積もりが雑で、しょっちゅう客とモメている。
給料もくれない。
言おうかな〜。
言ったら機嫌損ねちゃうかもな〜。
そしたらNHRAに紹介してくれないかもな〜。
でもこのままじゃ……。
「給料をください」
意を決して言ってみると少し険悪な雰囲気になりつつジョンは言った。
「え? 要るの?」
しばらくするとジョンは、NHRAに参戦しているトップチームに矢吹君を紹介してくれた。
ジョンが通訳的に話をつける。
「ビザを取ったらもう1回来い」
適当なジョンと違ってトップチームは厳格だった。
そんな中、ショップでの矢吹君は適当なジョンに変わって見積もりを担当するようになる。
2人で始めたショップはぐいぐい軌道に乗り始め、どんどん大きくなっていく。
アメ車がたくさんイジれて、悪くない。
ある日、矢吹君はショップで仕上げたカマロを走らせていた。
ガソリン入れとくかな。
スタンドを探しながら流していると、バックミラーにコルベットが映っているのが見えた。
あれ? あのコルベット、さっきからずっといるよな……。
まだいる。
え~、まだいる~。
矢吹君がスタンドに入るとコルベットもついてきた。
コルベットの男はクルマから降り、矢吹君に近づいて言った。
「これいくら?」
コルベットの男はリアガラスに貼られた「FOR SALE」を見て、ひたすら追いかけてきたのだった。
アメリカのこういうところ、悪くない。
日曜日になると、ショップの隣の隣から爆音が聞こえる。
ドラッグマシンのV8エンジン。
隣の隣のオジイさんはドラッグの名物レーサーだった。
矢吹君はオジイさんのマシンの面倒も見るようになる。
トップチームじゃなくても、悪くない。
矢吹君はNHRAのメカニックにはなれなかったけど、夢の入り口に立って、違う夢を見つけた。
そんなアメリカ帰りも、悪くない。
★ ★ ★