君はバイクに乗るだろう VOL.139 |
ウチの隣は神社だ。
境内は丘の上つか急坂の上にある。
その上には古墳もあるんだよ。
神社と古墳がセットになってんの。
古墳付き神社。
ちょっといいでしょ。
神社の下にある駐車場の片隅は、オラも含めた近隣住民の資源ゴミ捨て場になってるんだけど、ときどき粗大ゴミを放置する不法投棄野郎がいる。
資源ゴミ捨て場だけど神社だよここ。
ただの神社じゃなくて古墳付き神社だよここ。
いい度胸だよなあ。
去年の今ぐらいのことだった。
神社の駐車場に幅1メートル20センチくらいで高さ1メートル80センチくらいの堂々たるロッカーが突如として彗星のごとく現れた。
そのロッカーが登場するちょっと前、フライパン、くちゃくちゃのビニール傘、青い針金製ハンガー等の資源ゴミでカモフラージュしつつ捨てられていた子供用の自転車やちっちゃいテレビとは比べ物にならない存在感。
横には「ごめんなさい! 月曜日まで置かせてください!」と書かれた紙が貼ってある。
誰に対して謝ってんのかは分かんないけど、ウチの近所の粗大ゴミの回収は月曜日なので、そのタイミングで消えるのかと思っていたら月曜日の夜になり、週末になり、夏になった。
なんだよ。「月曜日まで置かせてください!」かなんか頭下げてるフリしといて最初から不法投棄するつもりだったんじゃん。
あー、目障り。邪魔。余計。
っつーのもこのロッカー、立ちっぱなしなのである。
こういう異次元の物体が生息域に現れた場合、小学校3年生くらいの男の子が学校帰り、2、3人でふざけあって倒す。ボコボコにする。落書きする。っつー流れでアッという間に無惨な姿に変わり果てそうなもんだけど、なぜか誰も手を出さないので堂々と立ちっぱなしなのだ。
ロッカーは極暑の夏をなんてことない顔で乗り越え、秋を迎えようとしていた、つか秋になっても立っていた。
10月14日の秋祭りが近づく。
祭りの2日間、駐車場も含めて神社は出店で埋め尽くされる。
どうしよう。
俺は神社の人じゃないけどあのロッカー、どうしよう。
と思っていると祭りの直前、明日の昼にはテキ屋さんが集まって出店の設営始まるねくらいなギリギリのタイミングでロッカーが消えた。
神社の人じゃないけど、あ〜、良かった〜。
オラも含めた近隣住民が祭りのたびに納めている奉賛金(2000円)がロッカーの撤収費用に使われてたらムカつくけど。
ところが今年の春、撮影に行こうと家を出た早朝、神社の林の中に……ん?
よく見ると半畳サイズで高さ50センチくらいの安っぽいテーブルが鎮座していた。
レディース & ジェントルメン & ザス!
いつも。
ときどき。
今日初めて。
すべてひっくるめて、読んでいただきありがとうございます。
静まり返った林の中に鎮座する茶色いテーブルはシュールというか幻想的というかセットっぽくもあって……つかこのテーブルも秋まであるんだろうなあ。(総合司会・坂下 浩康)
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