鈴木 学 & YAMAHA SR400(2010 0228) |
Q2:「バイクってサイコー!」って思った時。
Q3:史上最悪の出来事は?
BLANKEY JET CITY。
MADMAX。
★ 2 ★
中学時代からずっと走りたいと話していた友人と、去年やっとツーリングで一緒に走れたこと。
★ 3 ★
渋谷のド真ん中でガス欠……。
★ ★ ★
前乗ったのいつだっけ?
って思い出せないくらい久しぶり、つかこんだけ思い出せないし駅名にも見覚えがないからもしかすると初めてかもしれない世田谷線に揺られながら、へー、前のドアから乗り込んで電車の中で運賃払うんだ、とその掟を学んでいると携帯に衝撃的なメッセージが飛び込んできた。
三陸沿岸に大津波警報が発令されたという。
なんだろうこの物騒な警報のネーミングは。
津波じゃなくて大津波。
銀杏じゃなくて大銀杏。
それは大相撲(春場所ですね)
とにかく僕のふるさと、三陸沿岸地方が危ない。
でも世田谷線に揺られている僕にはどうすることもできないので、頭の中で大津波をCG化してみようと試みたのだが、小惑星が地球にぶつかった衝撃波が地平線の向こうから次々ループしてきて全世界を壊滅状態に追い込んでいる地球危機一髪系の映画の1シーンしか浮かばない。
「大丈夫か?」
宮古(岩手)と石巻(宮城)の友達にメールを送る。
「待ってるんだけど来ないねえ」
「消防車とヘリがうるさい」
現地は意外とのんきに警報ライフをエンジョイしているようなので、ひと安心して豪徳寺のひとつ手前、宮の坂で降りた。
鈴木君ちの最寄り駅は豪徳寺なのだが、地図で見るとなんとなく撮るトコなさげだったので、ひと駅歩きながら撮影場所を探そうと思ったのである。
豪徳寺。世田谷八幡宮。世田谷城趾公園。
いまいちピンとこない。
でも、商店街の路上で、まるで焼き鳥かなんか焼くみたいにサバを丸ごと1匹焼いて売ってる出店にはピンときた。
地井武男なら間違いなく1匹買うだろう。
結局、豪徳寺駅まで来てしまった。
線路沿いを行ったり来たり。
でもピンとこない。
汗が出る。
もう1時間半くらい歩いてしまった。
頭の中に、撮るトコない警報が発令されていた。
1時から2時の間くらい。
つっといて2時を軽く回った頃、ようやく撮るトコが決まったので鈴木君に電話を掛けた。
「4時まで飲んでたんで逆に良かったっす」
申し訳ないほど優しいなあ。
こういう優しい好青年に「お嬢さんを僕にください!」って言われたら即あげちゃうなあ。
スティード、セロー、PS250。
アメリカン、オフロード、得体の知れないオートマチック。
この振れ幅は、展開が読めないというか脈略がないというかなのだが、SRにはずっと乗りたかった。
鈴木君はずっとこのSRを見ていたのだ。
というのもこのSRは、鈴木君が在籍する『RUDE GALLERY』のスタッフの間で社用車のごとく代々受け継がれてきた伝統の1台なのである。
オーナーが代わるごとにノーマルからカフェレーサー、そして今のカタチへと姿を変え、オーナーによっては「ちょっと汚れてるくらいがいい」と意図的にバイクカバーなしで鍛えられたりしたこともあってか、鈴木君が手に入れた時点ですでに結構なヤレっぷり。
クランクケースのしぼしぼ具合は、真夏の三陸の海水浴場の岩場に張り付いてカッサカサに乾いているフジツボみたいな感じであり、全体的には荒野の真ん中に3日くらい青空駐車した感じでもあるのだが、鈴木君にとっては、ンなこたァどうでもいいのである。
SRそのものに脈々と流れる30年の歴史と伝統。
その伝統とはひと味違ったRUDEオリジナルの歴史と伝統をまとう鈴木君のSR。
代々受け継がれてきた1台のバイクを今、自分が走らせている喜びと誇りがそこにある。
ちなみにこの撮影後、切れたテールランプを直しにバイク屋さんに行く途中、走行中にサイレンサーが陥落。鈴木君によると「火花がキレイでした」とのこと。
で、伝統が……。
鈴木君は、渋谷『RUDE GALLERY』のショップマネージャー。
今日もお店でオダギリジョーばりな(本人的にはおそらく却下)スマイルを振りまいていることでしょう。
http://www.rude-gallery.com/